2007 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトゲノム多型によるCYP薬物代謝活性変化の網羅的解析
Project/Area Number |
18390013
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宇野 公之 Osaka University, 薬学研究科, 教授 (00183020)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富杉 佳計 大阪大学, 薬学研究科, 助教 (80322311)
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Keywords | シトクロムP450 / 薬物代謝 / 一塩基多型 / 共鳴ラマン分光 |
Research Abstract |
本研究ではヒトの薬物代謝に関わる酵素の中でも主要な位置にあるシトクロムP450(CYP)を対象とし、ヒトゲノムの一塩基多型(SNP)情報を基礎とする各種変異体の薬物結合性と薬物代謝活性の網羅的・迅速測定を通して、ゲノム情報に基づいたオーダーメード医療を可能にする薬物投与設計の分子論的指針を確立する。この目的のために、SNP情報に基づき作成したCYP1A2、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP3A4変異体とこれら薬物との結合性を網羅的に測定する。また、SNPの影響を受ける分子構造的要因を探るため、共鳴ラマン法によりヘム鉄軸配位子である水に関する構造情報を得る。さらに、CYPの基質となる薬物の結合様式を解明するため、X線結晶構造解析による検討を行うとともに代謝活性の網羅的測定を行う。本年度においては、まず、昨年度に調製したCYPのSNP変異体を用いて薬物代謝活性の網羅的測定を継続して行った。その結果、薬物結合親和性の指標であるKdが、すべての薬物とSNP変異体にてミカエリス定数Kmと直線的に相関することがわかった。また、最大反応速度定数Vmaxは、薬物結合によってヘム鉄から配位水がはずれる割合と直線的に相関することがわかった。Vmax/Kmは薬物のクリアランスと関連づけられるため、酵素活性を測らなくても静的なKdと水配位率を測定するのみでクリアランスを推定できることが明らかとなった。一方、タンパク質の安定化を促進する薬剤の添加、及び界面活性剤の工夫により、これまで大量発現が遅れていたCYP3A4及びCYP2D6の大量発現系を構築することに成功した。これらを用いることにより、ヒトCYPによる薬物代謝を包括的に検討することが可能となった。
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Research Products
(1 results)