2006 Fiscal Year Annual Research Report
中枢機能調節因子として機能する有機イオントランスポーター群の生物薬学的研究
Project/Area Number |
18390054
|
Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
藤田 卓也 京都薬科大学, 薬学部, 助教授 (00247785)
|
Keywords | 有機イオントランスポーター / ニューロン / アストロサイト / 免疫組織染色 / ジ・トリカルボン酸トランスポーター / コハク酸 / クエン酸 / TCA回路 |
Research Abstract |
本年度は、ラット新生児およびマウス胎児大脳皮質より調整したアストロサイトあるいはニューロン初代培養系を用いて、ジ・トリカルボン酸輸送系の機能解析およびこの輸送を担うトランスポーターの同定を行った。すなわち、中枢神経系におけるNa^+/ジカルボン酸共輸送系の細胞分布を明らかとするため、代表的基質であるsuccinateおよびcitrateを用いて種々の輸送実験を行った。アストロサイトにおけるsuccinateおよびcitrateの輸送には顕著なNa^+依存性、飽和性が認められ、succinateに高親和性、citrateに低親和性の輸送性を示し、かつ見かけ上1つの輸送系を介した輸送であることが示された。またsuccinateの輸送はcitrateにより競合阻害された。さらにNa^+依存的なsuccinate輸送は起電的であり、NaC3の基質となるC_4-C_5のジカルボン酸よって阻害されたが、トリカルボン酸であるcitrateでは約50%程度しか阻害せず、モノカルボン酸ではまったく阻害されなかった。またLi^+の濃度依存的な阻害効果も認められた。ラットニューロンにおけるsuccinateおよびcitrateの輸送においても顕著なNa^+依存性、飽和性が認められたが、succinateとcitrateは同程度の親和性の輸送性を示し、これらジカルボン酸の輸送能はアストロサイトの場合よりも低いことが示された。NaC2の基質となるC_4-C_5のジカルボン酸およびトリカルボン酸であるcitrateによって阻害されたが、モノカルボン酸では阻害されなかった。さらにRT-PCR解析、Western blot解析および蛍光免疫染色法によりアストロサイトではNaC3、ニューロンではNaC2のみの発現が確認された。以上の結果より、TCAサイクル中間体であるsuccinateおよびcitrateはラットアストロサイトまたはニューロンにおいて同一の輸送系により基質認識され、また、succinateおよびcitrateを輸送するトランスポーターはアストロサイトおよびニューロンで異なることが明らかとなった。さらにその異なるNa^+共役カルボン酸輸送系はアストロサイトではNaC3、ニューロンではNaC2であることが明らかとなった。
|