2008 Fiscal Year Annual Research Report
中枢機能調節因子として機能する有機イオントランスポーター群の生物薬学的研究
Project/Area Number |
18390054
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
藤田 卓也 Ritsumeikan University, 薬学部, 教授 (00247785)
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Keywords | 脳・神経 / トランスポーター / 神経化学 / アストロサイド / 神経初代培養細胞 / 有機イオン |
Research Abstract |
これまでの検討により、中枢神経系へのTCA回路中間体の輸送に関与するtransporterとしてNa^+-coupled dicarboxylate transporter NaC3およびNaC2を同定することができた。一方、ニコチン酸はNAD^+やNADP^+といった補酵素の構成成分であるとともにアストロサイトにおいて受容体を介した細胞内Ca^<2+>濃度上昇を惹起するNAADPの構成成分でもある。NAD^+の再利用およびNAADPの合成を考えた場合、脳内でのニコチン酸の動態は生理的にも重要であると考えられ、本年度はラット大脳皮質初代培養アストロサイトを用いて、nicotinateの細胞内への輸送特性と輸送に関与しているtransporterの同定を行った。アストロサイトにおけるnicotinate輸送には、顕著なpH依存性・濃度依存性が認められたものの、Na^+依存性はほとんど認められなかった。また、各種代謝阻害剤やプロトノフォア、MCT特異的阻害剤によりアストロサイトへのnicotinate輸送は顕著に阻害された。さらにnicotinateのアストロサイトへの輸送は種々のモノカルボン酸により有意に阻害された。RT-PCRおよびWestern blottingにより、MCT1、MCT2、MCT4のmRNAおよびタンパク質の発現を確認した。さらに、アストロサイトにおけるnicotinate輸送に対するL-lactateの阻害定数がK_i>10mMであることを考え合わせると、アストロサイトにおけるnicotinateの輸送には低親和性のMCT4が関与していることが示唆された。
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