2006 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子発現量による膵内分泌ー外分泌細胞の分化制御
Project/Area Number |
18390059
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川口 義弥 京都大学, 医学研究科, 助手 (60359792)
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Keywords | 膵発生 / 転写因子 / 内胚葉 / 可塑性 / ptfla / 分化 / 運命決定 / 発現量 |
Research Abstract |
これまでの発生学研究の成果として、臓器形成やある種の細胞分化に必須の転写因子が主として遺伝子ノックアウトを用いた解析で次々に明らかとなっている。又、Cre recombingenetic lineage tracingにより、ある遺伝子を発現した細胞がその後どのような細胞へと分化するのか?を正確に解析することができるようになった。我々はPtflaノックアウトとlineage tracingの組み合わせで、Ptflaは膵と十二指腸が分化する際の運命決定を担う重要な転写因子「膵決定遺伝子」であると結論した。ところが、膵前駆細胞から内分泌細胞/外分泌細胞への運命決定がどのようになされているかは全く分かっていない。そこでは単に転写因子発現のON/OFFといった制御ではなく、転写因子の発現量による制御がなされていると予想される。そこで本研究では「内分泌外分泌の分化決定は膵形成の早い時期、膵原基内でのPtfla発現量によって既に規定されている」と仮説をたてた。 これまでの研究で、Ptfla低発現量マウスでは膵内分泌細胞分化の時期に変化はないが、膵外分泌細胞への分化が遅れることが判明した。また、ptfla低発現アリル由来細胞の一部は胆管、十二指腸へと分化していることが確認され、外分泌機能不全に加えて、著明な耐糖能異常を示した。以上より、Ptflaの発現量が膵・十二指腸・胆管それぞれの前駆細胞間における運命決定、及び膵形成における内分泌・外分泌細胞分化の運命決定の2段階に影響を与えていると考えられる。すなわち、発生早期の各臓器前駆細胞間や膵前駆細胞では互いにナイーブな可塑性を有し、Ptfla発現量のある閾値を超えたものが膵前駆細胞を経て外分泌細胞へと分化するという仮説である。今後はPtfla発現量がどの位に低下しているかを正確に把握し、キメラマウス作成による直接の証明に移る。
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Research Products
(1 results)