2007 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルス性脳疾患の克服:パターン認識受容体RAGEの機能に基づく新戦略の構築
Project/Area Number |
18390139
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
朝長 啓造 Osaka University, 微生物病研究所, 准教授 (10301920)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
生田 和良 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (60127181)
谷山 弘行 酪農学園大学, 獣医学部, 教授 (90133800)
安居 輝人 大阪大学, 微生物病研究所, 准教授 (60283074)
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Keywords | ボルナ病ウイルス / 持続感染 / 中枢神経系 / 脳炎 / RAGE |
Research Abstract |
ウイルス性脳疾患の発症には中枢神経系(CNS)でのウイルスの持続感染と過剰な脳炎反応が深く関わっている。本研究は、ウイルス性脳疾患、特に免疫応答による脳神経細胞の破壊を回避するとともに、ウイルスをCNSから排除する新戦略を構築することを目的として進められた。研究代表者は、ボルナ病ウイルス(BDV)感染をモデルに、ウイルス持続感染の成立に関わる脳内因子と脳内免疫の活動を総合的に解析してきた。その結果、BDVが感染した脳内では、持続感染の成立に伴い糖化最終産物受容体(RAGE)の脱活性化が誘導されることを明らかにした。パターン認識受容体であるRAGEは、自然免疫活動の長期化や炎症反応の増幅にも関与している。すなわち、BDVはRAGEの活性化を抑制することで、宿主免疫の攻撃から逃れるとともに、持続感染の長期化を図っていると示唆された。本年度では、RAGEの活性化制御によるウイルス増殖抑制と脳炎の抑制について、実験動物を用いて解析を行った。BDVが持続感染したラットを用いて、組換えBDVN蛋白質(rN)の接種による脳内RAGE活性化を誘導した。同時に、RAGEの活性化を制御するために、可溶化RAGE(sRAGE)の頭蓋内接種を行った。その結果、sRAGEの投与により、BDV持続感染ラット脳内では炎症細胞浸潤が顕著に抑制されることが明らかとなった。一方、IL-1β、TNF、MCP-1、MIP-1などの炎症性サイトカインの発現には変化が認められなかった。以上のことより、sRAGE投与によるRAGE活性化の抑制により、細胞浸潤を伴う過剰な脳炎反応を制御できることが示された。一方、脳内のウイルス量に関しては変化が認められず、脳内で持続感染を成立させたウイルスの排除に関しては異なるアプローチが必要であると考えられた。
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Research Products
(4 results)