Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹田 徳則 星城大学, リハビリテーション学部, 教授 (60363769)
村田 千代栄 浜松医科大学, 医学部, 助手 (40402250)
遠藤 秀紀 日本福祉大学, 経済学部, 准教授 (10340283)
尾島 俊之 浜松医科大学, 医学部, 教授 (50275674)
平井 寛 日本福祉大学, 地域ケア研究推進センター, 主任研究員 (20387749)
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Research Abstract |
平成20年度も,ほぼ月1回の研究会を行い,下記の研究を進めた. (1)「コホート分析 ある一時点の所得など社会経済的因子と要介護状態認定割合などの関連を分析する横断分析では,低所得が要介護状態の原因なのか,もともと障害などがあったので低所得に留まったのか,因果関係の方向が分離できない.そこで2003年度と2006年度に実施した大規模調査のデータと,その後の追跡データを結合したデータベースを作成し縦断分析を進めた.その結果,介護保険料区分で所得段階を分け,約2.8万人の4年間の死亡と要介護認定について追跡した。このコホート分析によって,男性の最低所得層では,最高所得層に比べ死亡率や要介護認定を受ける割合が2-3倍も高い健康格差があることなどを明らかにした.学会発表したこの内容は注目を集め,マスコミ等でも取り上げられた.その他,閉じこもり状態やうつ,ストレス対処能力,歯科保健,認知症などに関する分析結果を国内外の学会・雑誌に発表した.このうち学会報告した4演題について,優秀ポスター賞や若手研究者賞を受賞した.(2)地域レベルの因子の研究 地域レベルの因子に関わる分析として,人口密度が低い地域に「閉じこもり」が多いこと,ソーシャル・キャピタル(社会関係資本)が乏しい地域に暮らす高齢者に健康状態が良くない者が多いこと,相対的な社会的な位置が低い人で健康指標が悪い傾向があることなどについて報告した.個人レベルの因子だけでなく,地域レベルの因子も,健康指標と関連していること,つまり個人を対象とした支援策だけでなく,地域レベルの対策があり得ることなどを実証的に明らかにした. (3)政策への応用に向けた理論研究 疾患や要介護リスクと社会経済的因子との関連に関する文献レビューを進めた他,ヨーロッパ諸国の政策動向を紹介しながら「社会政策研究」誌に格差論に関する論文を公表した.
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