2006 Fiscal Year Annual Research Report
特発性肺胞蛋白症において抗サイトカイン自己抗体はなぜ増加するのか?
Project/Area Number |
18390240
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
中田 光 新潟大学, 医歯学総合病院, 教授 (80207802)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 義一 近畿中央胸部疾患センター, 呼吸不全研究部, 研究部長 (90240895)
中垣 和英 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 助教授 (90143635)
田澤 立之 東北大学, 加齢医学研究所, 助手 (70301041)
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Keywords | 肺胞蛋白症 / 抗GM-CSF自己抗体 / 気管支肺胞洗浄 / 原発性肺胞蛋白症 / 自己免疫疾患 / 免疫複合体 |
Research Abstract |
原発性肺胞蛋白症の自験256例の病理学的あるいは気管支肺胞洗浄により診断された原発性肺胞蛋白症のうち、抗GM-CSF自己抗体陽性例は87.1%の223例であり、陰性33例のうち、基礎疾患があるものは32例で、基礎疾患を特定できなかったものが1例あった。抗GM-CSF自己抗体は、厳密な意味で肺胞蛋白症の病因であるという証明がされたわけではないが、以下の理由でこの疾患の分類に非常に重要な指標となりうる。 1.GM-CSFやその受容体欠損マウスが病理学的に肺胞蛋白症を発症すること。 2.患者の血液や肺にある抗GM-CSF自己抗体の中和能、GM-CSF結合親和性、特異性から考えて肺で産生されるGM-CSFを完全に中和できること。 3.健常者や他の肺疾患では肺胞蛋白症で見られるような高値の抗GM-CSF自己抗体が検出されないこと。 したがって、肺胞蛋白症のうち、抗GM-CSF自己抗体が検出されるものを自己免疫性肺胞蛋白症として分類すると、それ以外のもので、基礎疾患の有無によって、あれば続発性とし、なければ特発性ということになる。抗サイトカイン自己抗体は、広く健常者にも存在していることが次第に明らかになってきており、抗GM-CSF自己抗体も健常者血清中に肺胞蛋白症患者の1000分の1程度存在している。複合体の形で存在しているため、これまで検出されなかった。健常者において抗GM-CSF自己抗体が何をやっているのか不明だが、肺胞蛋白症の大部分では、GM-CSFに対して、過剰な抗体が存在するために複合体を形成していないフリーの抗体が存在する。換言すれば、抗GM-CSF自己抗体の産生制御の異常ということになる。また、自己免疫疾患の多くで複数の自己抗体が検出されるが、我々が調べた限りでは、その検出頻度は高くなかった。
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Research Products
(5 results)
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[Book] 内科学2006
Author(s)
中田 光, ほか 監修 金渾一郎, 北原光夫, 山口徹, 小俣正男
Total Pages
2994
Publisher
医学書院