2007 Fiscal Year Annual Research Report
水疱性類天疱瘡における自己抗体病原性の直接証明とエピトープデコイ療法の開発
Project/Area Number |
18390309
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
澤村 大輔 Hirosaki University, 大学院・医学研究科, 教授 (60196334)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 宏 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (00146672)
清水 忠道 富山大学, 医学部, 教授 (70260396)
西村 栄美 金沢大学, がん研究所, 教授 (70396331)
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Keywords | 水疱性類天疱瘡 / ノックアウトマウス / トランスジェニックマウス / エピトープ / デコイ / XVII型コラーゲン / BP180 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
水疱性類天疱瘡(BP)は,XVII型コラーゲン(COL17)に対する自己抗体により発症すると考えられている.COL17は表皮真皮間の接着に非常に重要であり,遺伝子異常により先天的に発現が欠損した場合,外的刺激により容易に水疱形成する表皮水疱症となる.このCOL17が自己抗原となるBP患者IgGをマウスへ投与しても病変は形成されない.従って、患者のCOL17に対する自己抗体によってBPが発症するかは未だ証明されていない.本研究目的は,遺伝子改変マウスを用いて,BP患者に存在する自己抗体の病原性を直接証明し,BP抗原のepitopeに一致するペプチドをdecoy(おとり)として投与するエピトープデコイ(epitope decoy)という新規治療戦略を開発することにあった。COL17KOマウスでは,COL17の発現が無く,皮膚は脆弱で容易に水疱を形成しヒトの表皮水疱症患者に極めて類似していた.一方,ヘテロのCOL17KOマウスでは異常所見は認めず,ヒトCOL17が皮膚で発現するヒトCOL17cDNAトランスジェニックマウスとの交配を進めた.最終的に,マウスCOL17が欠損しヒトCOL17のみ発現するCOL17ヒト化マウスが得られた.このマウスではKOマウスで見られた殆どの異常所見は認めなかった.この結果、患者の表皮細胞に遺伝子を導入する遺伝子治療の有用性が示された。こ・のCOL17ヒト化マウスへBP患者由来IgGを投与したところ,ヒトIgGがマウス皮膚へ沈着し表皮下水疱が生じBPの所見を再現することに成功した.更に,COL17の抗原エピトープNC16Aドメインをコードする種々の蛋白を合成した。このリコンビナントペプチドをこのBPモデルマウスへ投与したところ,優位に病勢を抑制し,抗体中和療法として有用であることが解った(epitope decoy療法).将来BPに対する新しい治療法として有用であることが示された。
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