2006 Fiscal Year Annual Research Report
精巣の抗菌性と精子産生能を制御するタンパク質の同定と機能解析
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18390441
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
原 孝彦 (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 副参事研究員 (80280949)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清野 真理 (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 主任研究員 (60376621)
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Keywords | 精巣 / 精子 / リポカリン2 / セルトリ細胞 / 精原細胞 |
Research Abstract |
我々は、セルトリ細胞と精原細胞との共培養系を用いて、セルトリ細胞のリポカリン2(抗菌タンパク)遺伝子が、精原細胞から分泌されるタンパク質性物質によって転写活性化されることを見出した。このリポカリン2遺伝子の転写活性化にはNF-κBが必須であったが、精原細胞由来サイトカインは、IL-1βやTNFαではなかった。セルトリ細胞と精原細胞との相互作用によるリポカリン2の産生は、免疫系細胞とは異なり成獣マウスの精巣で恒常的に起っていたことから、ここでの抗菌物質産生は、細菌感染による配偶子の死滅を防ぐためと推察される。精原細胞から分泌されるリポカリン2誘導性サイトカインを同定することを目的として、新生マウス精巣由来の精原細胞からcDNA発現ライブラリーを構築し、サブプールをトランスフェクトして得たCOS細胞培養上清のスクリーニングを開始した。現在、候補プールのシブリングを行っている。 次に我々は、マウス精原細胞の増殖分化を制御する分子の探索過程で、機能未知の膜タンパク質をコードするS76遺伝子を同定し、そのノックアウトマウスを作出した。S76遺伝子ホモ欠失マウスは早期胎生致死となったが、S76ヘテロ欠失マウスの精巣ではS76欠失型精子の含有比率が顕著に減少していた。またS76遺伝子は、胎生期生殖腺の前セルトリ細胞にも発現していた。これらの事実は、S76タンパク質が精原細胞の増殖分化を制御している可能性を示唆する。精子形成におけるS76遺伝子産物の機能を明確にするために、まずS76タンパク質を特異的に認識するモノクローナル抗体の調製をおこなった。その結果、ウェスタンブロッティングとファックスに使える抗体を得た。現在、免疫組織染色実験と並行してS76遺伝子のコンディショナルノックアウトマウスの作出を準備している。
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Research Products
(4 results)