2007 Fiscal Year Annual Research Report
精巣の抗菌性と精子産生能を制御するタンパク質の同定と機能解析
Project/Area Number |
18390441
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
原 孝彦 Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research, 東京都臨床医学総合研究所, 副参事研究員 (80280949)
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Keywords | 精巣 / 精子 / リポカリン2 / セルトリ細胞 / 精原細胞 |
Research Abstract |
我々は、セルトリ細胞と精原細胞との共培養系を用いて、セルトリ細胞の抗菌タンパク質リポカリン2をコードする遺伝子が、精原細胞から分泌されるタンパク質性物質によって転写活性化されることを見出した。この抗菌物質産生は、細菌感染による配偶子の死滅を防ぐためと推察される。本研究では、まず精原細胞から分泌されるリポカリン2誘導性サイトカインの発現クローニングを試みた。新生マウス精巣由来の精原細胞からcDNAライブラリーを構築し、そのサブプールをCOS7細胞にトランスフェクトした。レポーターアッセイによって、それらの培養上清中にリポカリン2遺伝子の転写誘導活性を検出した。しかし、プールサイズをさらに小さくしていっても活性は濃縮されなかったため、標的とするサイトカインは複数の遺伝子産物から成る可能性が示唆された。そこで、次は活性を指標としたタンパク質精製によるcDNAクローニングを試みる予定である。 もう一つの研究課題として設定した機能未知の膜タンパク質S76の遺伝的解析については、コンディショナルノックアウトマウスの作出を行なっている。最初のトライアイルでは、S76遺伝子の構造上の問題により、目的としたfloxed alleleの組み換えが起こらなかった。そこでプロモーターを標的としたhypomorphic alleleの導入に方針変更して、実験を行なっている。一方、別途に進めてきた精原細胞遺伝子の探索研究から、精子形成の初期段階に必須の役割を果たす可能性のある遺伝子として、新たにCMG-1を同定した。細胞株を使ったノックダウン実験から、CMG-1が精原細胞のニッチ定着に関与することを示唆するデータを得た。CMG-1についても、遺伝子改変マウスの作出を計画している。
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Research Products
(5 results)