2008 Fiscal Year Annual Research Report
精巣の抗菌性と精子産生能を制御するタンパク質の同定と機能解析
Project/Area Number |
18390441
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
原 孝彦 Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research, 東京都臨床医学総合研究所, 副参事研究員 (80280949)
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Keywords | 精巣 / 精子 / リポカリン2 / セルトリ細胞 / 精原細胞 |
Research Abstract |
我々は3年前に、セルトリ細胞の抗菌タンパク質リポカリン2をコードする遺伝子が、精原細胞から産生される未知の分泌性タンパク質によって転写活性化されることを見出した。このリポカリン2誘導性物質を生化学的に精製する目的で、ソースとなる7日齢マウス精原細胞の不死化を試みた。しかし、得られた細胞株では初代精原細胞の培養上清に存在した活性が再現されなかった。したがって、リポカリン2誘導性物質の発現制御には長期培養によって損なわれる精原細胞独自の遺伝子プログラムが関わっているものと予想される。一方、機能未知の膜タンパク質S76の遺伝的解析については、S76遺伝子のプロモーター領域と第一エキソンとをloxPで挟み込んだfloxed alleleを相同的組換えにより導入したES細胞の作出に成功した。現在、キメラマウスを交配中である。また、共沈実験によりS76遺伝子産物が小胞体シャペロンタンパク質と強く結合することを見出した。S76タンパク質は精子タンパク質の細胞内輸送を制御している可能性がある。最後に、これまで精巣での機能がわかっていなかった核内因子DDX1およびCMG-1について、生化学的な解析を実施した。その結果、これらはCyclin-D2遺伝子を含む幹細胞特性に関わる種々の遺伝子の転写を正に制御していることを見出した。さらに、DDX1は様々なタイプの精巣腫瘍に高発現し、それらのin vivo増殖に必須であった。DDX1とCMG-1遺伝子は精子形成の初期過程において重要な働きをしていると予想されるため、現在これらの遺伝子のfloxed alleleをマウスに導入するためのターゲッティングベクター構築を進めている。
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Research Products
(5 results)