2007 Fiscal Year Annual Research Report
血液細胞-血管内皮相互反応制御による網脈絡膜疾患の病態解明と新治療法の開発
Project/Area Number |
18390467
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮本 和明 Kyoto University, 医学研究科, 講師 (90359810)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 篤史 京都大学, 医学研究科, 助教 (30314222)
辻川 明孝 京都大学, 医学研究科, 助教 (40402846)
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Keywords | 白血球-血管内皮相互反応 / 眼炎症 / エンドトキシン誘発ぶどう膜炎 / 網膜循環 / 誘導型一酸化窒素合成酵素 / iNOSノックアウトマウス / 網膜血管拡張 / 白血球ローリング |
Research Abstract |
白血球-血管内皮相互反応は、炎症の病態形成において重要な役割を果たしている。また炎症時には、誘導型-酸化窒素合成酵素(inducible NO synthase; iNOS)の発現が亢進し、iNOS由来のNOが、白血球-血管内皮相互反応における白血球と血管内皮細胞の接着を司る細胞接着分子であるICAM-1やP-selectinなどの発現を制御することで、炎症の病態形成に深く関わっていることが報告されている。今回我々は、iNOSノックアウトマウスを用いて、眼炎症モデルであるエンドトキシン誘発ぶどう膜炎(Endotoxin-induced uveitis; EIU)の病態形成過程におけるiNOSの果たす役割について検討した。iNOSノックアウトマウスおよびC57BL/6マウス(正常対照マウス)の足蹄部に1ipopolysaccharideを注射することでEIUモデルを作製した。EIUを誘発後、アクリジンオレンジ白血球蛍光造影法を用いて、網膜循環における白血球-血管内皮相互反応を経時的に観察した。また、網膜血管外に遊走した白血球については、網膜をflat-mountに展開した後、蛍光顕微鏡下にて評価した。EIU発症の急性期には、網膜主幹動静脈の拡張、白血球が血管内皮細胞上を転がるローリング現象や白血球の血管内皮への強固な接着、白血球の血管外への遊走など、ダイナミックな白血球-血管内皮相互反応が生じるが、iNOSノックアウトマウス群では、C57BL/6マウス群に比べて、白血球のローリング現象は最大98.2%(P〈0.0001)、遊走白血球数は最大74.0%(P〈0.0001)の抑制がみられた。また、iNOSノックアウトマウス群において主要網膜静脈径の拡張がC57BL/6マウス群に比べて有意に減弱していた(P〈0.0001、最大76.4%)。以上から、iNOSノックアウトマウスでは、EIUの網膜循環において白血球-血管内皮相互反応が著明に減弱し、網膜の血管拡張も抑制されることが分かった。このことからiNOSは、眼炎症に対して促進的に働き、その病態形成に重要な役割を果たしていることが示唆された。
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