2007 Fiscal Year Annual Research Report
新規炎症調節物質(ANAとHMGB-1)を軸とした歯周病態形成機構の解明と制御
Project/Area Number |
18390561
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
和泉 雄一 Tokyo Medical and Dental University, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (60159803)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 征郎 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (20082282)
町頭 三保 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (80253897)
中村 利明 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (60381183)
小林 宏明 東京医科歯科大学, 大学院・歯学総合研究科, 助教 (50396967)
|
Keywords | 歯周病 / HMGB1 / 歯肉上皮細胞 / 炎症性細胞浸潤 / アナンダマイド / 歯肉線維牙細胞 / 炎症抑制 / 歯肉溝滲出液 |
Research Abstract |
本年度は、HMGB1に関しては、歯周組織におけるHMGB1の局在の検索と、歯肉上皮細胞をTNF-αで刺激した際のHMGB1産生を検討した。まず歯周病罹患歯肉と健康歯肉を採取し、HMGB1の存在を免疫染色にて観察した結果、歯周病罹患歯肉では細胞質内にHMGB1の存在を確認できた。このことから炎症部位ではHMGB1は核内から細胞質内に移動し、細胞外へ放出されることが示唆された。また、歯肉上皮細胞由来株化細胞(Ca9-22)をTNF-αで刺激することにより濃度・時間依存的にHMGB1が放出されることが認められ、その放出経路はp38MAPKを介していた。さらには、Ca9-22をHMGB1で刺激することによりIL-8産生が認められた。以上の結果から、歯周病罹患歯肉ではHMGB1の局在が認められ、歯周病局所におけるHMGB1の放出は、炎症性細胞の浸潤に関わっている可能性が示唆された。来年度は、さらにHMGB1刺激によるサイトカイン産生を検索すると共に、歯周病の病態との関連性を詳細に検討していく予定である。ANAに関しては、ヒト歯肉線維芽細胞(HGF)における受容体の検索、炎症制御における役割の検索を行った。まず、ANAは、培養HGFにおいてLPS刺激により誘導される炎症性サイトカイン産生をNF-κB活性を抑制することにより有意に抑制した。歯周炎罹患患者の歯肉溝滲出液中のANAの濃度・総量や歯周炎罹患組織中のANA受容体は、ポケット深さと比例して増加する傾向を示した。以上のことからANAは、慢性歯周炎局所で炎症を制御している可能性が示唆された。また、単球様細胞(U937)やCa9-22をANAで刺激することによりβエンドルフィンの産生が認められた。今後、歯周組織中においてもANAによりβエンドルフィンが産生され炎症性疼痛を制御しているかどうかを検討予定である。
|
Research Products
(16 results)