2008 Fiscal Year Annual Research Report
デザインペプチドライブラリー構築による細菌付着阻止分子探索と感染性心内膜炎予防
Project/Area Number |
18390569
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
伊藤 博夫 The University of Tokushima, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (40213079)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 正明 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (10314882)
片岡 宏介 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (50283792)
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Keywords | 口腔細菌 / レンサ球菌 / ペプチドライブラリー / フィブロネクチン / phosphorylcholine / スクリーニング / バイオアッセイ / オンビーズライブラリー |
Research Abstract |
細菌性心内膜炎ほか種々の全身性感染症の起因菌としても注目される、口腔レンサ球菌の宿主に対する付着をモデル系として、病原微生物の特定物質への特異的付着を阻害することを作用機序とする、感染症予防のための、化学合成が可能なリード化合物を同定するための方法論的基礎の確立が本研究の目的である。Phosphorylcholine(PC)を介した細菌結合モチーフを探索するための方法論の至適化を目指して、平成19年度の研究には用いなかった、残りの9種のアミノ酸でN末端を固定した9種類のOne Peptide on One Beadライブラリーを合成し、ポリプロリン型ペプチドリンカーによるビオチン標識PCの反応によるスクリーニング実験を行った。PCの実験対照として、同じリンカーによるビオチン標識phosphorylacetylethanolamineを合成して使用した。PC特異的結合モチーフを探索するためには、1M程度の高い塩濃度の条件で行う必要があること、N末端をGlyとAlaに固定した2種のライブラリーからスクリーニングを開始することが効率的であること等が示された。本研究により系統立てたスクリーニング法により3種のPC認識候補ペプチドが選択された。PCに対する分子認識を基盤とした感染症予防法の開発を目的とした戦略の一環として、PCの分子模倣による粘膜ワクチン技術の基盤確立に着手した。マウスに経鼻的にPC抗原を投与する際、樹状細胞を標的としたFlt3分子をコードする新規DNAプラスミドアジュバントを用いることで、マウスの血中に加えて粘膜分泌液中にPC特異的抗体を誘導することに成功した。この課程で、本新規DNAアジュバントがCD8,CDllc陽性樹状細胞の増殖分化を粘膜関連リンパ組織に誘導することが、高効率な抗体産生に結びついていることが示唆された。これらはPCの分子認識を介する細菌感染症の予防法開発にとって重要な知見である。
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