2007 Fiscal Year Annual Research Report
元気高齢者に園芸療法を適用した包括的地域ケアモデルの構築と揚の創造
Project/Area Number |
18390598
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
安川 緑 Kanazawa University, 医学系研究科, 准教授 (10210246)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 勝夫 金沢大学, 医学系研究科, 教授 (60190089)
金子 周一 金沢大学, 医学系研究科, 教授 (60185923)
伊藤 喜久 旭川医科大学, 医学部, 教授 (20129026)
小山 善子 金城大学, 医療健康学部, 教授 (90019943)
三谷 徹 千葉大学, 園芸学部, 准教授 (20285240)
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Keywords | 元気高齢者 / 園芸療法 / 包括的地域ケア / 脳機能 / 生活・栄養指導 / 生活活性化 / 補完・代替医療 / QOL |
Research Abstract |
今年度の調査では、65-74歳までの元気高齢者19名(平均年齢69.74歳:男性9名、女性10名)を実験群とし、週1回3ケ月間のHT(生活・栄養指導含む)を適用し、適用期間中ならびに適用前・後とその3ケ月後の各時期に心身機能や社会的機能などの変化を調査した。また、HTを適用しない群の同元気高齢者19名(平均年齢70.37歳:男性8名、女性11名)を対照群として同様な内容の調査を行い、下記のような結果を得た。なお、各尺度の変化について有意差の検定をWilcoxon符号付き順位和検定にて行った。1.HT適用前後における身体機能の変化については、(1)脳血流量の変化として、実験群では、測定を重ねるにつれてアンチサッケード反応時間が短縮し、誤反応率が減少する傾向が認められた。対照群では、アンチサッケード反応時間や、誤反応率と前頭前野血流量との関係も変化は認められなかった。(2)血液検査においては、実験群ではWBCやRBC、Hb、TP、chEの値と、IgG、IgA、IgMの各値がHT後に有意に増加し、対照群でも、WBC、 TP、chEの各値とIgG値の有意な上昇を認めた。そのほか実験群では、栄養指導期間中に有意に変化した値として、HbAlcとCKの減少が認められており、栄養マーカーとなるAlbの値はHT後3ケ月後に有意に上昇した。2.心理・精神的機能の変化としては、実験群ではPOMSの「緊張-不安」「抑うつ-落込」「怒り-敵意」「疲労」「混乱」の各項目の得点が有意に減少したほか、TEGのAC尺度の得点が有意に増加した。3.生活満足度の変化では、実験群においてはSF36の「身体機能」「日常役割機能-身体」の各項目の得点が有意に上昇した。HT後3ケ月後にも維持された項目は、「身体機能」「全体的幸福感「社会的生活機能」であった。一方、対照群ではSF36の「日常役割1幾能-身体」の得点が有意な上昇を認めた。HT後3ケ月後の時期に維持された項目は、「日常役割機能-身体」「「日常役割機能-精神」であった」3.HT後の聞き取り調査において、「園芸療法を受けて変化したことは何か」の問いには「以前よりも健康や食事に注意するようになった」「気持ちが穏やかになった」「生活にリズムが生まれた」「他者と交流することで自分を知った」「決断力や積極性が向上した」などの感想が聞かれた。以上の結果から、HTは疲労感の軽減や心の安寧を図ると共に、意欲や行動力を向上させて心身機能を活性化し、また、その均衡を図ることにも有効に作用することが示された。また、HTと組み合わせた生活・栄養指導の導入による効果も示された。 以上、今年度の調査を通して、地域在住の元気高齢者の健康や食に対する意識づけや日常生活の活性化が図られ、新たなコミュニティが形成されたことからも、園芸療法を機軸とした地域高齢者ケアには、老年期を自宅で自立して過ごすために必要とされる、諸条件獲得にかかる効果的な場や機会の提供が含まれ、QOLの維持・向上が長期にわたり維持されること等明らかとなった。なお、次年度の調査においては、今年度の結果に基づいて作成された包括的地域ケアモデル案を適用した、IT活用型の園芸療法の確立を目指す予定である。
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Research Products
(4 results)