2007 Fiscal Year Annual Research Report
バクトリアのギリシア都市の美術・考古学調査-ウズベキスタン共和国カンピール・テパ
Project/Area Number |
18401032
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Research Institution | Kyoto University of Art and Design |
Principal Investigator |
芳賀 満 Kyoto University of Art and Design, 芸術学部, 教授 (40218384)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 文男 京都造形芸術大学, 芸術学部, 教授 (60298742)
内田 俊秀 京都造形芸術大学, 芸術学部, 教授 (30132822)
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Keywords | 美術史 / 考古学 / 東洋史 / 西洋古典 / 古代ギリシア / 古代ローマ / 古代オリエント / 地理情報システム(GIS) |
Research Abstract |
研究代表者はウズベキスタン共和国芸術アカデミーのジャンガル・イリヤソフ氏を共同パートナーとし、国際日本文化研究センターの宇野隆夫氏の参加を得て、駒沢大学の古庄浩明氏、早稲田大学の相馬拓也氏、アレクセイ・ゴリン氏の各氏が発掘調査を実施した。研究分担者の岡田文男と内田俊秀は、出土遺物の保存処理の監督を行った。現地発掘調査期間は2007年8月1日〜9月5日、9月28日〜10月3日。それ以降はタシケントのキャラバン・サライで遺物の整理作業を行い、特に10月23日〜11月7日は古庄氏がその監督をした。 2007年度には、ツィタデリ西部区域と、東部区域でクシャン朝時代からグレコ・バクトリア時代への発掘を継続した。その結果、都市全域にわたり4期(クシャン朝時代以前の都市計画→クシャン時代初期に都市プラン変更→一時的に放棄→カニシカ時代に再び整地がされ建造物建立→テパ全体が放棄される)がある蓋然性が高まった。都市全域にわたって4つの時期を認めるならば、そこに大規模な都市計画が存在し、つまりそれを施工できる政治的権力が存在し、そして施行しなければならなかった何らかの政治的・社会的理由の存在を想定することができよう。遺物としては、多くの土器片と共に、クシャン朝と西隣のパルティア王朝との関係に関わるギリシア語文献の不明点を明らかにする緑柚陶器、ギリシア文明とインド文明の融合を如実に示す熱く抱擁・接吻する男女テラコッタ像が特筆できる。 GISによるテパとその周囲の地勢に関するデータ解析と考察も行った。コスト距離によりテパの管轄領域と戦略的領域が判明し、河道復元、眺望範囲などの観点からの考察により、テパが戦略的に極めて勝れた位置にあることが示された。 来年度は、テパ西部区域を完掘し、東部区域でのグレコ・バクトリア時代への発掘作業を継続する。
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Research Products
(3 results)