2006 Fiscal Year Annual Research Report
中国における国際法--その受容、適用及び実効性についての体系的検証
Project/Area Number |
18402011
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
王 志安 駒澤大学, 法学部, 教授 (40255641)
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Keywords | 中国 / 国際法 / 平和的台頭 / 条約 |
Research Abstract |
本年度は研究課題を取り組むため、資料収集・整理と具体的なテーマ設定を中心とした研究活動を行った。まず、7月18日から8,月5日にかけて中国の上海、武漢、株州に訪ね、大学や研究機関の図書館で資料を収集し、多くの中国国際法学者との意見交換を行った。そうした資料を整理し、まず中国と国際法との関係をどのような視点から総括すべきかを検討した。次に、この関心点についての理解を深め、他の研究テーマに関連する資料を集めるため、10月31日から11月7日にかけて北京、天津で更なる資料の収集を行った。 そうした資料収集を踏まえ、本年の研究テーマとして具体的に2つに絞ることとした。ひとつは、「中国の『平和的台頭』と国際法-30年を総括するための視点を探って-」という論題の考察である。「中国の平和的台頭」というフレーズは近年中国の知識界に流行下もので、一部の国際法学者によって中国と国際法の関係の過去・現在と将来を論証するための理論的枠組みとして使われている。このフレーズは果たしてここ30年中国と国際法の関係を総括するために有益なものであるかどうかについて検討を行った。これについて19年2月24日国際法研究会(京都大学)で報告を行った。 もうひとつは、「中国と条約-国内法への影響を素材に-」である。中国の国内裁判において条約が適用されたという実績がほとんどないが、そうであれば条約は中国の国内法システムにおいてどのような役割を果たしているか。どのような問題点があるのか。これは中国と国際法の関係を具体的に検証するために不可欠の作業である。現在、資料整理をすでに完了し分析視点を析出し、具体的な論考作成の段階に入っている。 本年度は学術調査の初年度であり、論文形式の成果の公表はないが、来年度から駒澤法学において中国と国際法にかかわる一つシリーズを計画し、3点から4点の論考を公表していきたい。
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