2008 Fiscal Year Annual Research Report
地域環境管理手法としての地域制自然公園制度の構築と管理に関する国際比較研究
Project/Area Number |
18402012
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
畠山 武道 Sophia University, 地球環境学研究科, 教授 (40062666)
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Keywords | 地域環境管理 / 地域制自然公園 / 国立公園 / 自然景観地区 / 住民参加 / 生物多様性 / 土地利用規制 / 利用者管理 |
Research Abstract |
本年度は、自然公園制度がそれらの地域の自然資源管理手法としてどのように機能し、成果を上げているのかを、英国を中心に調査した。調査地域は、英国中部のピーク地区国立公園、湖水地区国立公園、それにロンドン西部のコッツウォルズ自然景観保全地区である。その結果、以下の事柄が判明した。 第1に、英国においては、国立公園、自然景観保護地区、学術的重要資源地区などの多様な制度が存在し、制度間で目的に明確な差異があること、第2に、国立公園においては、自然資源の厳正な管理よりは、農業・林業との共存が積極的に図られていること、第3に、国立公園の管理は基本的に公園毎に設置された国立公園機構が担当し、地域社会の意向が明確に反映されること、第4に、近時、審査制度・交付金を通じ中央政府のコントロールが強まっていること、第5に、自然景観保全地区(AONB)の管理団体には土地利用規制権限が与えられておらず、むしろ連絡調整組織として、それなりに機能していること、第6に、自然公園全般において、農業、林業の規制が弱く、生物多様性の減少に歯止めがかかっていないこと、などである。 これまで英国の国立公園については、その歴史や制度の概要を紹介したものはあるが、それを地域資源管理手法として把握し、その長所・短所、機能的限界などを詳細に調査したものはなく、制度が類似する日本の国立公園のあり方を考えるうえで、大きな示唆が得られた。今後成果を、シンポジウム、出版等を通して積極的に発信する。
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Research Products
(5 results)