2007 Fiscal Year Annual Research Report
中国内陸部における貧困対策に関する研究-「移民新村」政策を中心にして-
Project/Area Number |
18402024
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
阿部 照男 Toyo University, 経済学部, 教授 (80058057)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横川 伸 東洋大学, 経済学部, 教授 (40166872)
かく 仁平 東洋大学, 経済学部, 教授 (20310526)
針生 清人 東洋大学, アジア文化研究所, 客員研究員 (90058032)
飯塚 勝重 東洋大学, アジア文化研究所, 客員研究員 (00385965)
羅 歓鎮 東京経済大学, 経済学部, 准教授 (80307793)
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Keywords | 三農問題 / 中国内陸部 / 貧困対策 / 移民新村 / 扶貧開発 / 退耕還林・還草工程 / 産業構造 / 社会主義新農村 |
Research Abstract |
本研究は、現代中国に於いて緊急に解決を迫られている「貧困問題」特に内陸部農民の「脱賓小康化問題」に焦点を当て、その解決策の一環として新たに打ち出された「移民新村」政策について調査研究し、具体的な実施状況を明らかにし、その成否の条件を分析するものである。 本年度は,4年計画の2年目に当り、我々自身による現地調査と委託による現地戸口調査という2つの調査を実施した。我々の現地調査に先立ち,昨年度予備調査の成果をもとに改良した調査アンケート票を以て委託した戸別訪問による聞き取り調査が、陝西発展研究センター・葉道猛教授指導の下、院生チームにより実施され、8月末にほぼ終了し諸データを受領した。 我々自身の現地調査は、9月1日から12日まで、陝北地区と甘粛地区に於いて実施された。9月1日から5日までは、陝西省延安市宜川県・銅川県という中山間地の移民新村の実情を農家の聞き取り調査、県幹部の座談会を交え調査した。最も大きく印象に残ったことは、せっかくの移民・移住をして、生活条件が向上したとアンケートに表わされているが、労務輸出という出稼ぎで、新村自体の活気が湧き起こっていないと言う矛盾であった。新たに起こりつつある社会主義新農村運動がそれを解決する鍵となるのであろうか。 9月6日から11日まで、甘粛の調査に入る。酒川県瓜州県は漢族と回族等少数民族の交わるところで、農業用水を疏勒河一本に頼り、主として綿作農業地域であるが、周辺数個の移民新村と共に、インフラ整備に追われており、併せて曾ての牧羊から畑作農戸に転換する少数民族への多品種耕作、農業技術などの教育・指導が望まれている。我々の調査で曾てNHKで取材報道された甘粛省永靖県出身の王一家が瓜州県腰站子村で健在であることを15年ぶりに確認できたことは今回調査の大きな収穫であった。
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