2009 Fiscal Year Annual Research Report
中国内陸部における貧困対策の研究-「移民新村」政策を中心にして
Project/Area Number |
18402024
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
阿部 照男 Toyo University, アジア文化研究所, 客員研究員 (80058057)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横川 伸 東洋大学, 経済学部, 教授 (40166872)
〓 仁平 東洋大学, 経済学部, 教授 (20310526)
針生 清人 東洋大学, アジア文化研究所, 客員研究員 (90058032)
飯塚 勝重 東洋大学, アジア文化研究所, 客員研究員 (00385965)
続 三義 東洋大学, 経済学部, 教授 (60468361)
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Keywords | 貧困対策 / 移民新村 / 内陸地域 / 脱貧小康化問題 / 農村扶貧開発 / 退耕還林・還草 / 新農村建設 / 農村人口の都市化 |
Research Abstract |
本研究は、現代中国において緊急に解決を迫られている『貧困問題』特に内陸部農民の「脱貧小康化問題」に焦点を当て、その解決策の一環として新たに打ち出された「移民新村」政策について調査研究し、具体的な実施状況を明らかにし、その成否の条件を分析するものである。 本年度は計画の最終年度に当り、残された課題の一つである草原地帯の退牧還草等により形成された移民新村について、中国内モンゴル自治区赤峰市郊外における2カ所の事例を調査研究し、今年度報告書にその成果を記録した。またこれまで、現地調査に積極的な協力を得てきた中国西北大学等及び陜西省政府、延安市政府などの関係者を招き、東洋大学等において、シンポジュウム、国際ワークショップ等を開催し、相互の研究成果に関わる発表、討論を経て中国における貧困対策の効果、課題及び脱貧小康化のプロセスを究明した。(1)中国政府の組織的な農村扶貧開発は、これまでに開発型扶貧の始動、難関突破、都市と農村の重点的扶貧開発の統一的計画という3段階を経験した。上述の努力は中国農村の貧困人口を大幅に減らした。(2)現在、中国農村の扶貧開発において以下の課題を直面している。貧困基準が低いこと、貧困人口の絶対数が大きいこと、農村の貧困人口の地域分布がますます分散していること、貧困人口の構成には十分な生存能力のない人々の比重が大きくなっていることなどから、扶貧開発の難しさはさらに増している。農村の貧困の根絶は依然として中国政府の長期的で、複雑で、極めて困難な歴史的任務である。(3)2020年までに絶対貧困を基本的に根絶するという扶貧目標を実現するために、政府は貧困人口の基準の引き上げ、扶貧方式、扶貧方法、扶貧資金の整理統合等を通じて、それぞれの時期の経済社会条件に基づき、適切な政策措置を選択することは非常に重要なことである。移民新村という扶貧政策は今後引き続き実施されるが、範囲と規模はさらに拡大するとともに、新農村建設や農村人口の都市化の推進、退耕還林・還草や山川河流整備などの諸政策と結びつけて実施なければならない。
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Research Products
(10 results)