2008 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジア大陸部地方都市華人の地域間移動に関する実証的研究
Project/Area Number |
18402030
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
荒井 茂夫 Mie University, 人文学部, 教授 (00159477)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 慶子 北九州市立, 法学部, 教授 (90197575)
加納 寛 愛知大学, 国際コミュニケーション学部, 准教授 (30308712)
福田 和展 三重大学, 人文学部, 准教授 (10324500)
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Keywords | 華僑・華人社会研究 / 華人社会史 / 華人文化 / 社会史 / 移民社会 / インドシナ華僑 / ベトナム華僑・華人 / カンボジア華僑華人 |
Research Abstract |
本年度は最終年度であり、まとめの作業に入った。本来調査対象地域が広いことと、1975年以降インドシナ難民として流出した華僑・華人の移動状況調査の必要性に直面したために、主にフランス植民地諸国華人のヨーロッパ流入状況について調査した。8/14〜8/23、本来華僑の町であったホイアンにて、ベトナム戦時及び75年以降の華僑の境遇について聞き取りを行い、9/1〜9/14パリ及びリヨン市でインドシナ難民華人の状況を調査し、ベトナム、カンボジアでの聞き取り結果とすり合わせを行った。09 2/7〜2/24ロンドンの中山学校長、華人連絡官、華人社区長等より聞き取りを行った。欧州難民華僑は一カ所定住型が多く、難民出国時に分散した親戚も各地に定住する、という傾向が顕著だ。従来華僑・華人の分類は所謂新華僑と旧華僑の対置で、「難民華僑・華人」という概念の明確な定義はなかった。今回の調査でそれを明確にし、新たな中華圏世界の分析軸を提示できる。この三者は中華文化への愛着という点で共通するが、現実の中国に対しては異なる。特に難民華僑・華人に顕著な傾向は共産主義に対する嫌悪感と、中国政治に対する批判的な見方である。欧米的人権と人道主義に共感する彼らは、中国の存在の増大には危惧と自負という矛盾する真情を抱いている。自負は想像の故郷の声調に対する歓喜であるが、実際の郷愁は生まれ育ったインドシナの大地にあり、その故に帰国投資というと一般的にはインドシナの故国への投資を意味する。さらに現実には西欧的人道主義自由主義に帰属するという、いわば3種類のアイデンティティを内在させている。この点は東南アジア諸国の華人と異なる点である。また2/28〜3/4カンボジアの中山学校で質問票の回収を行った。郵送不可能で受け取りが前提であった。
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Research Products
(4 results)