2007 Fiscal Year Annual Research Report
中国三峡ダム貯水池の大規模湛水に伴う地すべり発生危険度調査
Project/Area Number |
18403003
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
汪 発武 Kyoto University, 防災研究所, 助教 (10324097)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
王 功輝 京都大学, 防災研究所, 助教 (50372553)
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Keywords | 三峡ダム / 貯水池 / 地すべり / 水位変動 / 斜面変形 / 現地観測 / 集中降雨 / 伸縮計 |
Research Abstract |
本研究では、三峡ダム貯水池における典型的樹坪地すべりと千将坪地すべりを対象に、調査研究を実施している。2007年度では、以下のような研究を実施し、成果を得た。 1.樹坪地すべりブロック1における4年間の観測結果、地表踏査、GPS・調査ボーリング等の資料に基づき本地すべりの移動機構について次の事が分かった。(1)樹坪地すべりブロック1では古い地すべりの一部が再活動している。(2)地すべりは三峡ダム貯水位の変化の影響を受けている。活動は貯水位上昇と同時に誘起されたものであるが、現時点では、貯水位低下による影響が大きい。(3)湛水開始から現在にかけての約四年間において、ブロック1の変動機構が変化しているらしい。当初は斜面下部における変位が大きく、その後、上部の動きが活発になっている。また、本年度では、観測システムの見直しを実施し、源頭部から貯水池近くまで、連続した観測システムを完成し、新しい観測をスタートした。平成20年度では、引き続き、観測を継続する予定である。 2.湛水によって発生した千将坪地すべりに対して、すべり面土試料に対するリングせん断試験およびX線回折分析によって、以下の結論を得ている。地すべりの運動は黒色シルト層と黄色粘土層にコントロールさせている。粘土層の強度が低いため、最初の地すべり運動がそれに沿って発生したと推定され、あるせん断距離を経過すると、シルト層内のせん断抵抗が低下し、すべり面が粘土層からシルト層に転換した。シルト層では粒子破砕が発生し、せん断抵抗の急激な低下によって、再活動地すべりが加速運動し、高速地すべりとなった。また、X線回折分析の結果より、黄色粘土層は黒色シルト層から劣化してきたものと分かった。
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Research Products
(6 results)