2006 Fiscal Year Annual Research Report
ガンジスデルタ帯水層のヒ素溶出・吸着平衡特性の解明に基づく持続的浄水資源の探索
Project/Area Number |
18404009
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
真野 明 東北大学, 大学院工学研究科, 教授 (50111258)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石橋 良信 東北学院大学, 工学部, 教授 (10111246)
|
Keywords | ヒ素 / 地下水 / バングラデッシュ / 溶出 / 吸着 |
Research Abstract |
真野は,シャヤラル工科大学准教授で東北大学博士課程のラー一マン氏をバングラディシュKolaroa地区に派遣し資料採取を行なった.ここは井戸水の96%以上が高濃度のヒ素に汚染されており最も深刻な地区である.54mから210mまで深さの異なる6本の井戸を掘り,土砂試料200個,地下水試料24個を採取した.現地およびBUETで分析を行ない,ヒ素,鉄マンガンなどの陽イオン,炭酸,塩素などの陰イオンの分析を行なった.この結果浅井戸では,ヒ素,鉄,マンガンなどの濃度が高く,深井戸ではナトリウムの濃度が高く,ヒ素濃度は低いことが分かった.またBUETで土砂試料の溶出実験を行ない,分配係数や反反速度定数などの反応パラメータを同定した. さらに,これらの試料を東北大学のICP・MSなどの高度分析機器により分析し,含有成分の精度の良い分析と,微量元素などの分析を行なっている.またこれと平行して,ヒ素の地価輸送を数値的に解く解析プログラムを開発している. 石橋は情報の収集とともに実験的に以下の2課題について検討した。 ヒ素吸着・溶出に影響を及ぼす要因は鉄、硫酸イオン、炭酸塩、有機物が挙げられる。このうち、鉄濃度および硫酸イオン濃度の影響について詳細な実験を行った。吸着理論における破過曲線で表現した結果、両要因は吸着・溶出に関連し、特に硫酸イオン濃度は鉄濃度より破過に到る時間が長いことが指摘できた。 一方、ヒ素を生物学的に吸着させる細胞表層工学について検討した。大腸菌の細胞表層の最外層を構築するLamBタンパク質にヒ素を吸着させ得るArsRリプレッサータンパク質を導入する遺伝子操作を試みており、近く組換え体が構築できる段階にある。一方、arsR遺伝子の発現があればヒ素は70%以上除去されることも突き止めている。
|