2006 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジアにおけるレンガ造遺跡の生物被害予測と建築環境工学的保存手法に関する研究
Project/Area Number |
18404013
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鉾井 修一 京都大学, 工学研究科, 教授 (80111938)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朽津 信明 (独)東京文化財研究所, 国際文化財保存修復協カセンター, 主任研究員 (50234456)
宇野 朋子 (独)東京文化財研究所, 国際文化財保存修復協力センター, 特別研究員 (90415620)
小椋 大輔 京都大学, 工学研究科, 助手 (60283868)
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Keywords | 東南アジア / レンガ造遺跡 / スコータイ遺跡 / 成長モデル / 藻類 / 温湿度環境 / 屋根架構 / 含水率 |
Research Abstract |
本研究は、東南アジア諸国に数多く存在するレンガ(石)造遺遺跡を対象として、その保存について検討しようとするものである。特に世界文化遺産の一つとして知られているタイ・スコータイ遺跡のスリチュム寺院とその中に安置されている大仏を主たる検討対象としている。現状では大仏は雨、日射に晒され、屋根の無いこの寺院内は藻類が生育するのに格好の環境となっている。今後更に状態は悪化し、再度の保存修復作業を必要とする事態に陥ることが懸念される。無蓋の寺院内部は湿度が非常に高く、寺院内外の温湿度環境の変化により苔の繁殖の危険性は非常に高い状況にあるといえる。本研究においては、本寺院に屋根を架け寺院内部の温湿度・日射環境を適切に制御することにより苔の繁殖を防ぎ、特別な修復作業、薬品処理を可能な限り控えることの可能性、同時にこの屋根架構による寺院及び大仏の熱・水分環境の変化を予測することを目的とする。現地の温湿度、気流分布、大仏および周囲の壁体地盤の含水状態を測定・調査により把握するとともに、寺院壁体・大仏構成材料の水分分布測定と水分特性に関する物性値の測定、寺院内部の気流分布、温湿度と大仏の含水状態を予測するシミュレーション手法を開発する。苔の成長モデルを組み込んだ温熱環境・生態総合モデルを作成し、屋根を架けることの影響を予測することを研究目的とする。 本年度は、以下の項目に関する検討を行った。1.現地の気象条件の測定と特徴の整理2.大仏周りの温湿度、気流分布の計測3.大仏の含水率の時系列変化計測4.藻類の生長の観察とそのモデル化5.大仏と寺院建屋の間の空間における気流分布の解析6.外界気象条件の変動を考慮した大仏周囲環境の予測7.流体解析とそれによる熱・水分伝達の予測
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