2009 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおけるFasciola japonicumの分布、起源および進化
Project/Area Number |
18405035
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
板垣 匡 Iwate University, 農学部, 教授 (80203074)
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Keywords | 肝蛭 / 中国 / 単為生殖 / 両性生殖 / ITS1 / ND1 / ウシ / 分布 |
Research Abstract |
中国における単為生殖型肝蛭の分布を明らかにするため、本年度は、平成21年9月8日~9月17日に湖北省武漢市、湖南省長沙市の屠畜場で肝蛭に感染した黄牛の肝臓より肝蛭虫体の回収を試み、武漢市では黄牛7頭から44虫体、長沙市では黄牛8頭から84虫体が検出され、70%エタノールにて圧平固定、染色体観察用処理を施すとともに子宮内虫卵を回収し日本に持ち帰った。圧平固定虫体については、写真撮影した後、一部を切除してゲノムDNAを抽出し、核リボソームDNAのITS1領域およびミトコンドリアDNAのND1遺伝子の一部について塩基配列を解析し、系統解析を行った。残った頭部部分はカーミン染色を施して貯精嚢内の精子の有無(生殖型)を観察した。その結果、長沙の17虫体では2虫体が両性生殖Fasciola giganticaと同定され、ND1遺伝子型はFg-C1およびFg-C11であった。他の15虫体は単為生殖型Fasciola sp.であり、そのITS1型は14虫体がFh/Fg(ヘテロ型)、1虫体がFg型であり、またND1遺伝子型はFg-C2であった。武漢の14虫体では、2虫体が両性生殖F.gigantica(ND1型はFg-C2)、1虫体が両性生殖Fasciola sp.(ND1型はFg-C2)であり、他の11虫体は単為生殖Fasciola sp.でITS1型は2虫体がFh型、1虫体がFg型、他の8虫体がFh/Fgであった。このことから、長沙と武漢の両地域には多様な遺伝形質を有する肝蛭虫体が分布することが明らかになった。また、単為生殖型肝蛭のアジアにおける分布を解明するため、中国南部で国境を接するミャンマー南部、ヤンゴン市において水牛24頭、ウシ1頭から肝蛭虫体を回収し、固定後に日本に持ち帰った。現在、各虫体についてDNA解析を行っている。
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Research Products
(16 results)