2007 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯泥炭湿地域の荒廃地の環境造林技術の開発と炭素吸収量評価
Project/Area Number |
18405040
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小島 克己 The University of Tokyo, アジア生物資源環境研究センター, 教授 (80211895)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹下 健 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (20179922)
益守 眞也 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 講師 (50282702)
大澤 裕樹 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (90401182)
|
Keywords | 環境 / 植物 / 特殊環境 / バイオマス / 林学 / 熱帯泥炭湿地 / 樹木 / 造林 |
Research Abstract |
タイ南部の常時湛水する泥炭湿地への造林法の開発のため、平成18年度に在来種11種を湛水深の深い泥炭湿地に植栽したが、全個体枯死した。そこで、樹高1m前後の大きい苗を用いて、苗畑で湛水環境に曝して順化させた苗を同じ湿地に植栽したところ、4種で植栽4ヵ月後に半数以上の植栽木が生残していた処理区があり、そのうち2種で湛水順化処理による生残改善の効果がみられた。植栽前と比べて植栽後5日目の光化学系IIの最大量子収率や葉緑素濃度に大きな変化はなかったが、生残数が多かった4種を含む6種で湛水順化苗の光合成速度が低下しなかった。これらにより、育苗法の方向性が見出せた。 湿地林生樹種の苗木安定供給を目指し、平成18年度に苗畑にて行った挿し木を掘り取り、発根状況を観察したところ、絶滅危惧種2種を含めた5種で発根が認められた。しかし、得苗率は全ての種で10%以下と低く、現況の苗畑管理では効果的な挿し木苗の生産はできないと考えられた。 土壌への炭素の蓄積速度を推定するために、泥炭土壌上の試験地において、在来種14種の葉の分解速度測定試験をしたところ、1年後の残存率は14〜84%の範囲であり、落葉の長期残存が期待できる種を見出すことができた。季節的に湛水する酸性硫酸塩土壌地域に植栽された12年生のMelaleuca cajuputi人工林においてバイオマス量と細根を測定した結果、定期平均成長量は4.1tC ha^<-1>y^<-1>程度であり、平均成長量は5.4tC ha^<-1>y^<-1>程度だった。細根の純生産量は0.55tC ha^<-1>y^<-1>程度であった。落葉落枝以外の植物遺体(枯死木と枯死根)供給量は1.0tC ha^<-1>y^<-1>程度と推定された。さらに、近接する12年生のHopea odorata人工林においてバイオマス量と細根量の測定を開始した。
|
Research Products
(1 results)