2008 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯泥炭湿地域の荒廃地の環境造林技術の開発と炭素吸収量評価
Project/Area Number |
18405040
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小島 克己 The University of Tokyo, アジア生物資源環境研究センター, 教授 (80211895)
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Keywords | 国際研究者交流 / タイ / バイオマス / 泥炭土壌 / 湛水 / Me1aleuca cajuputi / 細根分解速度 / Syzygium |
Research Abstract |
苗畑において湛水順化処理をした在来橦10橦の苗を平成19年度に湛水深の深い泥炭湿地に植栽し、その後の生残を観察したところ、3種で植栽1年後に半数以上の植栽木が生残しており、湛水順化処理による生残改善の傾向がみられた。このことにより、造林が非常に困難な湛水深の深い湿地での有効な造林法を見出すことができた。季節的に湛水する酸性硫酸塩土壌地域に植栽された13年生のMelaleuca cajuputi人工林においてバイオマス量と細根を測定した結果、平均バイオマス成長量は5.8tC ha-1y-1程度であり、細根の純生産量は0.19tC ha-1y-1程度と推定された。また林床では13 tC ha-1のリター蓄積がみられた。林齢毎に推定したリター供給量(13年生で6.O tC ha-1y-1)と枯死根供給量(13年生で0.06 tC ha-1y-1)および同林内で測定した細根の分解速度(k=O.12)と葉の分解速度(k=O.55)から、13年生のM. cajuputi人工林での泥炭生成速度を推定したところ、泥炭生成速度は0.6tC ha-ly-1程度であった。この人工林は13年間に88 tC ha-1の炭素を蓄積し、現在も6.1 tC ha-ly-1という速さで炭素を蓄積していることが推定できた。また、常時湛水した泥炭土壌上ではM. cajuputiの葉の分解速度がより遅かった(k=O.44)ので、さらに速い泥炭生成が期待される。葉の分解速度が遅かった他の種、Syzygium pyrifolium(k=O.27)、S. cerasiforme(k=O.28)、S. polyanthum(k=0.36)、S. kunstleri (k=0,39)、Vatica pauciflora (k=0.39)、S. oblatum (k=0.53)、Campnosperma coriaoeum(k=O.53)も造林による泥炭の再生成に有効であろう。
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