2006 Fiscal Year Annual Research Report
認知・行動特性に基づく情報通信システムの応答遅延評価と遅延補償
Project/Area Number |
18500067
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute of Multimedia Education |
Principal Investigator |
大西 仁 独立行政法人メディア教育開発センター, 研究開発部, 助教授 (40280549)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
望月 要 帝京大学, 文学部心理学科, 助教授 (80280543)
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Keywords | 情報通信 / 遅延 / 遅延補償 / QoE(Quality of Experience) / 言語条件づけ |
Research Abstract |
本研究の目的は、人間の認知特性を利用することにより、情報・通信システム利用時に通信ネットワークの遅延のように物理的に取り除けないコミュニケーションの阻害要因がある場合でも、その影響を最小限に押さえる方法を開発することである。基本的なアイディアは、遅延を伴う音声対話において、相手の反応待ち時に遅延により生じる不自然な間に、会話内容と意味的に無関係な信号で被せ間を埋める事により、遅延の影響を軽減の図るというものである。本補助金の申請時までに、話者が相手の反応を待つ間に「うーん」という無意味相槌を被せることで、遅延の影響が軽減できることを、言語条件づけと呼ばれる会話時の行動変化を指標に確かめてきた。平成18年度は、無意味相槌よりも一般的に利用しやすい方法の探索を行った。まず、無意味相槌の代わりに視覚刺激を呈示して間を埋める効果を検討したところ、視覚刺激呈示の遅延補償効果は無意味相槌に劣る傾向が得られた。次に、1kHz純音を呈示して間を埋める効果を検討したところ、無意味相槌と比肩する遅延補償効果が得られた。これらのことから、遅延補償効果を得る条件として、注目の必要がない音声刺激のほうが(音声会話時には)有効であること、音声刺激には言語性や擬人性は必ずしも必要がないことが示唆された。以上の分析を基に、より応用しやすい刺激として、桃色雑音を小音量で被せて間を埋める方法を検討したところ、無意味相槌や1kHz純音と比肩する効果が得られた。桃色雑音の遅延補償効果を明確に示す実験は、平成19年度に行う。
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