2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18500203
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
飯高 哲也 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 准教授 (70324366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
定藤 規弘 生理学研究所, 大脳皮質機能研究系, 教授 (00273003)
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Keywords | 機能的磁気共鳴画像 / 脳賦活検査 / 扁桃体 / セロトニン / 顔認知 / 遺伝子多型 / 多文化研究 / DTI |
Research Abstract |
機能的磁気共鳴画像(fMRI)と脳賦活検査を用いて、被験者に顔と不快な音声刺激を呈示することで嫌悪条件づけを行っている時の脳活動を調べた。扁桃体の活動は学習相の初期に一過性に上昇し、その後低下することが分かった。一方で前頭前野の活動は時間経過にかかわらずほぼ一定に推移しており、不快刺激に対する予期や不安などの反映と推察された。不快な音声刺激の付加により、内側膝状体と扁桃体の機能的結合性に変化が生じていた。消去相では、条件づけされた顔はされていない顔よりも海馬-扁桃体領域の活動が強かった。この結果は、学習コンテクストを想起させる課題を用いたためと推察された。本研究は日常的に遭遇する可能性のある顔と音声によって、扁桃体を含めた脳内ネットワークの活動や結合性に変化が生じることを示している。現在は英文論文を投稿中である。 さらに被験者の同意を得たうえで遺伝子検査を行い、セロトニントランスポーター遺伝子多型(5-HTTLPR)を調べた。その結果に基づき、被験者をストレス脆弱性が強いとされるS群と、そうでないL群に分類した。2群間でfMRI実験の結果を比較すると、S群では学習相における右前頭前野の活動が、L群よりも有意に強かった。しかし従来指摘されている扁桃体の活動に関しては、今回の研究では群間に有意な違いは認められなかった。これらの結果は遺伝子解析データにおける人種差や、方法論的な問題点も含めて今後議論する必要があると考えられる。
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Research Products
(4 results)