2006 Fiscal Year Annual Research Report
ナトリウムセンサー型チャンネルによる細胞制御機構の解明
Project/Area Number |
18500251
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
渡辺 英治 基礎生物学研究所, 神経生理学研究室, 助教授 (30250252)
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Keywords | グリア / ナトリウム / センサー / 恒常性 / チャンネル / 脳室周囲器官 / 遺伝子欠損マウス / 培養細胞 |
Research Abstract |
株細胞系によって「ナトリウムイオン仮説」の検証を行った。ホスト細胞にはグリア細胞由来でありナトリウムセンサーチャンネルNaxを発現していないC6細胞を選択した。C6細胞にテトラサイクリン誘導型の発現ベクターに組み込んだNaxチャンネルを導入して株細胞を樹立した。蛍光グルコース法によって株細胞の代謝活性を測定したところ、Naxを誘導したC6細胞の代謝活性は数倍に跳ね上がること、また細胞外ナトリウム濃度を上昇させるとさらに代謝活性は上昇することを発見した。細胞外に放出される乳酸もNaxチャンネルによって増加していた。ナトリウムイオノフォアによって細胞内にナトリウムを強制的に流入させたところ、ナトリウムの流入だけでは細胞の代謝活性が上がることはなかった。ところがナトリウムイオノフォアとNaxチャンネルのC末フラグメントを同時に細胞に導入すると代謝活性の上昇が観察された。さらに酵母2ハイブリッド法及び免疫沈降法によってNaxチャンネルのC末フラグメントはNa/K-ATPaseと相互作用していることを見いだした。以上のことからNaxチャンネルは、細胞外のナトリウム濃度上昇を検知し、細胞内にナトリウムを流入させると同時に、C末フラグメントによってNa/K-ATPase活性を上昇させ、細胞の代謝を活性化させているものと考えられる。細胞外に放出された乳酸は神経細胞に取り込まれて、神経細胞の活動を活性化させることが知られていることから、グリア細胞を起点として脳におけるナトリウム検出が行われていると思われる。
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