2006 Fiscal Year Annual Research Report
神経栄養因子ミドカイン機能低下と統合失調症における感覚ゲート機構障害
Project/Area Number |
18500289
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
清水 栄司 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (00292699)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊豫 雅臣 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (50191903)
橋本 謙二 千葉大学, 社会精神保健教育研究センター, 教授 (10189483)
藤崎 美久 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (30361447)
深見 悟郎 千葉大学, 医学部附属病院, 助手 (70361433)
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Keywords | 自閉症 / ドーパミン / NMDA / 神経栄養因子 |
Research Abstract |
成体期(生後2から4ヶ月)のミドカインノックアウトマウス(MK-KO)において、感覚運動ゲート機構であるPrepulse Inhibition(PPI)の障害を検出したため、今回さらに、行動実験を行ったところ、社会交互作用(Social Interaction)テストにおいて、MK-KOは、野生型に比べて、有意に、2匹のマウスの接触の頻度がより少なく、交流が乏しいことを明らかにすることができた。一方で、MK-KOは、オープンフィールドテストおよび新規物体テストでは、野生型と差がなく、不安を意味するような探索行動は、変化がみられなかった。一方、生後4週齢のMK-KOでは、PPIの障害は、見られず、成熟依存性のPPIの障害であった。これまで、MK-KOにおけるドーパミン機能の低下を報告してきたが、今回、グルタミン酸系に関して、1)前頭と海馬におけるグルタミン酸、グルタミン、グリシン、D-セリンおよびL-セリンの測定、2)前頭と海馬におけるMDA受容体密度の測定、3)NMDA受容体の選択的非競合的遮断薬MK-801によって誘発される移所運動量の測定を行ったが、それぞれMK-KOと野生型に差はなかった。さらに、MK-KOのPPI障害における抗精神病薬の改善効果を調べるために、haloperidol (0.1 or 0.2mg/kg,i.p.)およびclozapine(1 or 3mg/kg,i.p.)を、MK-KOに投与したところ、野生型と同じレベルにまで、PPI障害が改善された。以上の結果から、MK欠損が、成体マウスの脳に、神経変性のない、ドーパミン機能の低下を起こし、統合失調症や自閉症のような、ドーパミンに関連した神経精神疾患の動物モデルでみられる、PPIの障害と社会行動の異常を呈することが明らかになり、さらに、次年度以降、MKの精神障害の病理における役割の解明を継続していく予定である。
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