Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊豫 雅臣 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (50191903)
橋本 謙二 千葉大学, 社会精神保健教育研究センター, 教授 (10189483)
藤崎 美久 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (30361447)
深見 悟郎 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (70361433)
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Research Abstract |
(1)臨床研究として,統合失調症にみられるsensory gatingシステムの異常である事象関連電位P50抑制障害が,強迫性障害においてもみられることを世界ではじめて発見した(Hashimoto et al.,2008)。我々が以前に報告した統合失調症患者の血清ミドカイン(MK)の低下と考え合わせて,今後は,P50抑制障害が,血清MK濃度の異常と関連しているかどうかを検討していく。 (2)基礎研究では,MK-KOマウスに関してMAPカイネースのリン酸化機構の解析を行ったところ,ERKのリン酸化の慢性的な亢進を認めた。そこで,sensory gatingシステムの異常であるプレパルス抑制(PPI)について,ERKの異常を改善する分子メカニズムについての検討を進めるために,今年度,8週齢の雄性ddYマウスにおいて,NMDA受容体拮抗薬MK-801誘発性PPI障害を改善させる効果が高用量のglycineとD-serineにはあるが,D-cycloserineにはないことを明らかにした(Kanahara et al., in press)。NMDA受容体のglycine結合部位のantagonistであるL701,324によって,改善作用がなくなる結果から,glycineは,NMDA受容体のglycine結合部位へと作用することで,PPI改善効果を示していることが明らかとなった。また,glycineの腹腔内投与は,左前頭前野のglycine濃度を20倍も増加させることが,脳内微小透析と高速液体クロマトグラフィーにより明らかにできた。glycineとD-serineの感覚ゲート機構の改善作用の,D-cycloserineに対する優位性を示すこれらの結果について,今後,MKとglycineの信号伝達系のクロストークについてERKリン酸化機構を中心に検討していく予定である。
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