2006 Fiscal Year Annual Research Report
小脳興奮性シナプスにおける新規可塑性のシグナリング機構
Project/Area Number |
18500290
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柿澤 昌 東京大学, 大学院医学系研究科, 助手 (40291059)
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Keywords | 薬理学 / シグナル伝達 / 神経科学 / 生理学 / 脳・神経 / シナプス / 一酸化窒素 / 小脳 |
Research Abstract |
1.一酸化窒素(NO)はガス性の細胞間シグナル伝達因子で、様々な生命現象への関与が示唆されている。中枢神経系においてもNO合成酵素の発現が広く見られ、様々な神経機能へのNOの関与が推測されている。しかしながら、神経活動依存的なNO放出の動態やその生理的意義については、多くの点で不明である。本研究では、NOシグナルとCaシグナルのイメージングに電気生理学的手法・薬理学的手法を加えた多角的なアプローチにより申請者自身が見出したNO依存的な小脳平行線維-プルキンエ細胞シナプスにおける長期増強(LTP)へのCaシグナル系の関与を明らかにし、さらにNOシグナル系とCaシグナル系とのクロストークを調べることで、このNO依存的LTPの分子機構の解明を目的として計画された。平成18年度には、先ず薬理学的実験により、NO依存的な小脳平行線維-プルキンエ細胞シナプスにおけるLTPが細胞内のカルシウム上昇に依存することが示された。さらにイメージング法を用いた解析により、この細胞内Ca上昇は、細胞内Caストアからの放出に依存することが明らかとなった。しかも、このCa上昇は、申請者自身の先行研究により示されていた、LTP誘導に必要なNOシグナルと空間的に一致する。これらの結果は、LTP誘導時に小脳プルキンエ細胞内で活性化されるNOシグナルとCaシグナルの間に強い関連性があることを示唆する。これらの成果は、平成19年度の得られる予定の成果の一部とともに、論文投稿予定である。 2.上記の成果に加えて、1)小脳平行線維シナプスの機能維持へのプルキンエ細胞のIP3シグナル系の関与、2)小脳プルキンエ細胞内のリアノジン受容体とCa感受性カリウムチャネルとの機能共役機構、3)小脳平行線維シナプスにおける長期抑圧現象へのカルシニューリンの関与を明らかにし、それぞれ、研究発表の欄に記した雑誌論文として公表された。
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[Journal Article] Junctophilin-mediated channel crosstalk essential for cerebellar synaptic plasticity.2007
Author(s)
Kakizawa S, Kishimoto Y, Hashimoto K, Miyazaki T, Furutani K, Shimizu H, Fukaya M, Nishi M, Sakagami H, Ikeda A, Kondo K, Kano M, Watanabe M, Iino M, Takeshima H
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Journal Title
EMBO Journal 26・7
Pages: 1924-1933
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