2007 Fiscal Year Annual Research Report
血球貪食症候を自然発症する新規動物モデルの開発と発症機構の解析
Project/Area Number |
18500325
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
橋本 憲佳 Kanazawa University, 学際科学実験センター, 准教授 (50242524)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅野 雅秀 金沢大学, 学際科学実験センター, 教授 (50251450)
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Keywords | 血球貪食症候群 / 遺伝子改変動物 / 血液疾患 / プロテアーゼ / 疾患モデルマウス / 病態モデル / リソソーム蓄積症 / レグマイン |
Research Abstract |
リソソーム酵素であるAEPを欠損したマウスの遺伝背景をC57BL/6にすると,B6;129背景で観察された体温上昇は観察されなかったが,骨髄における血球貪食像は6ケ月令でも顕著に観察され,加えてゴーシェ細胞様に細胞質が波状に染色される組織球が多数観察された。この細胞はB6;129背景でも観察できるが,電子顕微鏡像では細胞質に細長い結晶状の封入体を含むマクロファージが観察され,いわゆるゴーシェ様細胞の形態とは異なっていた。尚,C57BL/6背景では水腎が多発しており,既に報告した腎尿細管での超微形態的なリソソーム蓄積症様病態が遺伝背景を変えることにより形態的にも顕在化したものと推察される。一方,脾臓や骨髄で顕著に出現するCD68、F4/80陽性細胞の血球貪食像が組織球側の異常によるのか,赤血球の異常によるのかを明らかとするため,腹腔マクロファージによる蛍光ビーズの取込を測定したところ,僅かながらも有意な取込増が観察された。さらに,オプソニン化した若齢マウス由来の赤血球とチオグリコレート誘発腹腔マクロファージを用いて赤血球貪食を測定したところ,AEP欠損マウス由来の赤血球を用いた場合とAEP欠損マウス由来のマクロファージを用いた場合双方で,正常マウス由来の細胞を用いた赤血球貪食との差は見られなかった。老齢個体に由来する細胞を用いた貪食試験を待つ必要があるが,脾臓肥大や脾臓、骨髄の血球貪食病態の出現時期が3〜6ケ月令以降であることを合わせると,血球貪食症候様病態は,加齢に伴ってAEP欠損に対する代償性機能が低下することによって引き起こされることが示唆される。さらにAEP欠損マウスの骨髄に多数存在する組織球がリソソーム蓄積症と関連するのかを検討する余地があると思われた。
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Research Products
(3 results)