2006 Fiscal Year Annual Research Report
PASによる非侵襲血糖測定器ための光マイクロホンの開発
Project/Area Number |
18500373
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
和田森 直 長岡技術科学大学, 工学部, 教務職員 (60303179)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石原 康利 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (00377219)
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Keywords | 光音響分光法 / 糖尿病 / 生体計測 / 適応フィルタ |
Research Abstract |
近年、簡便に検査、診断する方法が強く望まれている。例えば、糖尿病患者の血糖自己測定等が挙げられ簡易血糖自己測定器が市販されている。しかし、これらの機器は観血測定方法であり、患者への負担は無視できない。そこで、筆者らは、非侵襲の微量化学分析法である光音響分光法(PAS)に注目し、この分光法による非侵襲血糖値測定の可能性について検討してきた。PASによる血糖値測定の試みは、数例の報告はあるが、臨床応用までには至っていない。その理由の一つに、PAS信号が極微弱であることが挙げられる。PAS信号は、試料に照射された光強度に比例するのに対し、人体に対する許容照射光出力は、米国FDAの安全基準によって十数mWオーダに制限されている。このためPAS信号は、人体からの背景雑音に埋もれてしまう。この問題を解決するために筆者らは、高感度化に関する様々の試みを行ってきた。 平成18年度において、臨床実用化を目指し、検出感度の向上に加え装置の小型化を図るために、ロックインアンプによる雑音除去機能に代え、生体計測の分野でも応用されている適応雑音除去処理を採用した新しい装置系について検討した。本手法による雑音除去の効果を確認するために、数値シミュレーション及び天然ゴムを用いたPAS信号検出実験を行い、適応雑音除去を導入することにより、生体計測に必要なPAS信号の検出感度を達成できる可能性を示した。 また、現在のマイクロホンと共鳴管を利用した検出器に代えて、振動板と光検出素子とから成る構造が単純な光マイクロホンを検出器として用いることにより、小型化を実現できると考えて、光マイクロホンを用いたより高感度、小型の信号検出器の可能性を検討するために、生体等価モデルにおけるPA信号の熱的及び弾性的特性について、有限要素法による基礎的な解析を行った。その結果から検出器の設置等を十分考慮する必要のあることが示された。
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