2007 Fiscal Year Annual Research Report
PASによる非侵襲血糖測定器ための光マイクロホンの開発
Project/Area Number |
18500373
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
和田森 直 Nagaoka University of Technology, 工学部, 助手 (60303179)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石原 康利 長岡技術科学大学, 工学部, 准教授 (00377219)
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Keywords | 光音響分光法 / 糖尿病 / 生体計測 |
Research Abstract |
近年、市販されている多くの簡易血糖自己測定器は観血測定方法であり、患者への負担は無視できない。そこで、筆者らは、光音響分光法(PAS)による非侵襲血糖値測定の可能性について検討してきた。これまでに、PASによる血糖値測定の試みがなされているが、臨床応用までには至っていない。その理由の一つに人体に対する許容照射光出力が十数mWオーダに制限されるため、人体から発生するPAS信号が背景雑音に比べ極微弱であることが挙げられる。そこで、筆者らは、PASによる血糖値測定装置の高感度化に関する以下のような試みを行った。 まず、PAS信号検出器の高感度化を目的として、有限要素法を用いて、PA信号の発生、伝搬機序に基づいた数値解析を開始した。そして、数値解析によって算出されたPA信号値と試作した検出器で検出されたPA信号値とを比較することで、本解析手法の妥当性を明らかにした。また、本解析手法を用いて、検出器の容積とPA信号の検出感度について検討し、感度向上に効果的な容積の基準を示した。これらの結果から、光音響現象を考慮した伝熱、音響、構造解析を組み合わせた数値解析モデルによって、PA信号を高感度に検出するための検出器を最適設計できる可能性が示された。 次に、検出感度の向上に加え、検出器の小型化を図るために、コンデンサマイク(長さ120mm、直径13mm)に代えて、光マイク(長さ15mm、直径6mm)を検出素子として導入した。そして、体表から2-3mmの深さに存在する血管床を選択的に測定することで精度向上が可能となることから、光マイクロホンを用いたPAS装置の測定可能深さについて評価した。その結果、光変調周波数を1000〜2000Hzの範囲で調整することにより、深さ2-3mmの領域から生じる信号を選択して検出できることを確認し、血糖値の測定精度の改善が期待できることが示された.
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