2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18500496
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
里見 潤 Ritsumeikan University, 理工学部, 教授 (50205986)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加納 樹里 中央大学, 文学部, 准教授 (70286946)
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Keywords | 心拍変動(HRV) / HRV閾値 / 乳酸閾値 / コンディション / トレーニング |
Research Abstract |
平成19年度は、漸増的運動負荷テストにおける心拍変動応答に重点を置いて研究を進めた。 この課題に関しては、前年度より、HRV閾値のコンセプト(Neumannら、2001)に着目して、HRV閾値現象がとらえられるかどうか、HRV閾値が捉えられるとすれば、HRV閾値に対応する運動強度・血中乳酸濃度・心拍数はどのような値を示すか、またHRV閾値と乳酸閾値の関係性はどのようなものかという点を検討課題としてきた。平成19年度は、前年度の自転車競技選手を対象にした実験結果を踏まえ、陸上競技の大学生女子長距離選手を対象にし、フィールド(陸上競技用 400mトラックを利用)で実施される漸増的運動負荷テストにおける心拍変動解析指標の応答にいて検討を行った。 前年度の自転車競技選手を対象にした研究では、SD1ミニマムの現象として捉えられるHRV閾値に焦点を当てたが平成19年度の女子長距離選手を対象とした研究では、SD1とそれ以外の心拍変動解析指標であるLF、HF、LF/HFについても漸増的運動負荷テストにおける応答を調べた。前年度の研究では、SD1ミニマムの現象として捉えられるHRV閾値が多くのケースで認められる可能性が示唆されたが、HRV閾値と乳酸閾値との間に明確な関係性を確認するにはいたらなかった。平成19年度のHRV閾値に関する研究においても、得られた結果はほぼ同様であった。これらの平成18・19年度の結果から、一部の研究者が示唆している「漸増的運動負荷テストにおけるHRV閾値を含むSD1の応答を利用することで、漸増的運動負荷テストにおける乳酸閾値を含む血中乳酸濃度の応答の代替ができる可能性がある」という考えにもとづき心拍変動をトレーニング現場で活用するのは困難であると判断された。 しかし、女子長距離選手の漸増的運動負荷テストにおけるLF、HF、LF/HFの応答に関して、個々の選手に固有の応答パターンがある可能性や、トレーニング状態がそれらの指標の応答のありように反映する可能性も示唆された。これらの結果を踏まえるならば、アスリートの運動負荷応答特性やトレーニング状態の把握を目的にする際には、漸増的運動負荷テストにおいて血中乳酸濃度測定と心拍数・心拍変動測定を併用するのが有効と考えられる。
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