2009 Fiscal Year Annual Research Report
英国に残存する民俗フットボールの研究-存続意義とスポーツの近代化の過程の考察-
Project/Area Number |
18500503
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Research Institution | Nagoya College |
Principal Investigator |
吉田 文久 Nihon Fukushi University, 子ども発達学部, 教授 (30191571)
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Keywords | 民俗フットボール / 存続意義 / 担い手 / 多様性 / 変容 |
Research Abstract |
調査に関しては、12月に予定していたカークウォールでの確認作業を行い、そして2月に英国イングランド南西部のコーンウォール地方に残存するセント・コラムに加え、当初予定していなかったセント・アイブスでのゲームの観戦をし、貴重な資料も得ることができた。カークウォールでは、気に掛かっていたゲーム前日のプレイヤーの準備状況に関して、現地の友人の配慮により、よそ者ながら片方のチームの事前ミーティングに参加することができた。そこでは昨年のゲームの反省を出し合い、自分たちの昨年のミスや相手チームのプレーの分析にはじまり今年のゲームでの作戦・戦術についてオールド・プレイヤーから若いプレイヤーまで自由に発言し、活発に議論されていたこと、また、自他両チームにおいてカークウォール以外の町から参加するプレイヤーたちへの対応についても話されていたことなど、同席しなければ知り得ない情報を得ることができた。 一方、セント・アイブス、セント・コラムでのゲーム観戦、資料収集においては、両チームともゲームを運営する組織を持たず、事前にプレイヤーや住民との接触はできなかったが、近隣の都市にある図書館、博物館を訪問し、これまでの研究の取り組みを説明し、1800年代の古書や新聞記事をはじめ、いくつかの貴重な資料を得ることができた。またゲームの存続・継承に関して、地元の識者やプレイヤーに投げかけた質問への回答から、ゲームの担い手の確保とその継承には苦労しており、大人たちが子どもたちに伝統維持への働きかけを積極的に行っていること、新しく住みついた住民のゲームへの関心の低さなどの情報も得ることができた。 さらに、大英図書館を訪問し、ここ1年かけて探していた資料(F.Punchard,"Survlvals of Folk Football, Great Britain",1928)を入手できたのも大きな収穫であった。 年度内の報告書作成も予定していたが、作業には着手したものの、未調査のゲームを残してまとめるまでには至らなかった。
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Research Products
(1 results)