2008 Fiscal Year Annual Research Report
スポーツ選手の喫煙が短時間最大運動及び回復期の自律神経調節能に及ぼす影響
Project/Area Number |
18500508
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
橋爪 和夫 University of Toyama, 人間発達科学部, 教授 (80189472)
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Keywords | 喫煙 / スポーツ / 律神経調節能 / 短時間最大運動 |
Research Abstract |
1. 本研究の目的は,喫煙が短時間最大作業時及びその回復期に及ぼす影響を自律神経系の調節機能の観点から明らかにすることであった. 2. 喫煙習慣のある男子大学生4名と喫煙習慣のない男子大学生12名の被験者について検討した.被験者は朝8時に朝食を摂り,喫煙者は10時にタバコを1本喫煙して自転車での無酸素的最大パワー作業を行った。被験者は,体重の7.5%のキロポン負荷で10秒間の最大作業,2分間の安静休息,約6KPで10秒間の最大作業,2分間の安静休息,約7KPで10秒間の最大作業とその後の安静休息をした.右手薬指先端より採血した血液により血糖値と乳酸値を測定した。心電図から自律神経系活性解析システム(大日本製薬)により心拍数とRR間隔変動高周波成分HF(0.15-2.0Hz)を求めた.さらに,左人さし指に装着したパルスオキシメーターにより酸素飽和度を測定した.実験中は連続的に酸素摂取量と二酸化炭素排出量を計測した. 3. 喫煙者と非喫煙者で運動負荷及び作業成績に統計的に有意差(p<0.05)が認められなかった。しかしながら、喫煙者は短時間最大運動の直後や回復期において喫煙を欲しなかっただけでなく、非喫煙者にくらべて副交感系指標の異常な回復とその後の長時間の回復の遅延が認められた。両群の被験者ともに、回復期直後に欲したい飲料物は水であり、副交感系の回復が認められるのと同期して、スポーツ飲料や乳飲料を欲するような傾向が認められた。短時間激運動からみた喫煙の明確な悪影響は副交感神経系の異常な興奮が示すことにあり、緊急な安静状態すなわち睡眠状態へ誘う防衛応答が生じたことであると考えられる。すなわち喫煙者は短時間最大運動後に運動による積極的安静や静的安静を保つ制御能の低下が生じていると考えられる。
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Research Products
(1 results)