2006 Fiscal Year Annual Research Report
起立性低血圧に対する静脈血管の機能及び形態の関与についての研究
Project/Area Number |
18500554
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
三浦 朗 県立広島大学, 人間文化学部, 教授 (30190581)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 雅子 県立広島大学, 人間文化学部, 助手 (30336911)
福場 良之 県立広島大学, 人間文化学部, 教授 (00165309)
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Keywords | 起立耐性 / 下腿静脈コンプライアンス / 膝窩静脈コンプライアンス / 静脈血管収縮 |
Research Abstract |
本研究課題では,静脈血管の機能特性および形態特性に着目し,「起立性調節障害」の生理的規定要因を探る目的で,以下の2つの実験を行った。 1.下腿静脈コンプライアンスと起立耐性の関連性の検討:まず,静脈閉塞プレチスモグラフィー法(VCPG法)と超音波Bモード法の二つの手法を用いて,静脈内圧と下腿容積の変化および膝窩静脈の血管径の変化の関係から,下腿静脈コンプライアンス(VCp)と膝窩静脈コンプライアンス(VCu)を算出,評価する手法を確立した。さらに,24名の被験者に,起立耐性試験の実施を行い,起立耐性の指標である,Tilt試験中の収縮期血圧の低下の程度によって被験者を起立不耐性群(Intolerant :9人)と起立耐性群(Tolerant :15人)に分類した。IntolerantとTolerantにおいて,VCpとVCuともに有意な差は認められなかった。また,VCpおよびVCuとTilt試験中の下腿容積の増大率との間にも関連性は認められなかった。これらのことから,下肢静脈伸展性は,起立性低血圧の直接の規定要因ではないことが示唆された。 2.下腿静脈コンプライアンスに対する虚血性前腕掌握運動の影響:Hl8年度の中期には,虚血性前腕掌握運動による筋代謝受容器反射誘発時に,非活動肢である対側下腿部のVCpとVCuを同時に計測し,筋代謝受容器反射が,静脈血管の容積やコンプライアンスに及ぼす影響を検討した。結果として,虚血性掌握運動で筋代謝性受容器反射をひき起こした場合,VOPG法によって求めた下腿容積の減少やVCpの低下が認められた。いずれの方法で筋代謝性受容器反射をひき起こしても,Bモード法で求めた膝窩静脈の血管断面積やVCuには変化は認められなかった。筋交感神経活動亢進による静脈血管収縮は,膝窩静脈のような中等の血管以外の小静脈や細静脈などで起こる可能性が示唆される。
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