2006 Fiscal Year Annual Research Report
不登校・引きこもりに対する馬介在療法効果の科学的検証
Project/Area Number |
18500560
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kansai University of Welfare Sciences |
Principal Investigator |
倉恒 弘彦 関西福祉科学大学, 健康福祉学部, 教授 (50195533)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西牧 真理 関西福祉科学大学, 健康福祉学部, 講師 (10368417)
志水 彰 関西福祉科学大学, 健康福祉学部, 教授 (90028457)
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Keywords | 馬介在療法 / アクティグラフ / 中途覚醒 / 睡眠、覚醒リズムの評価 / 加速度脈波解析 / 科学的検証 |
Research Abstract |
馬介在療法を8名の不登校児を対象に1回/週x5週間にわたって実施し、(1)自覚症状チェック、(2)心理士による心理的評価、(3)心拍変動解析を用いた自律神経系評価、(4)アクティグラフによる行動量の変化や睡眠、覚醒リズムの評価、(5)臨床血液検査などによって馬介在療法の効果を科学的に検討した。さらに、有酸素運動(歩行)と乗馬との臨床症状改善度の違いを明らかにするため、疲労負荷を加えた健常者10名を対象に同様の検討を行った。 不登校児を対象とした馬介在療法の結果では、全員が馬介在療法への参加は楽しかったと述べており、VASによる自覚症状調べでは、「気分の落ち込み、イライラ感、不安感、緊張」に明らかな改善がみられた。また、アクティグラフの結果からは、不登校児においては中途覚醒の回数が多い傾向がみられたが、馬介在療法を体験することにより中途覚醒の数が減少し睡眠の質が改善している傾向がみられた。心理士による評価では、以前に比較して表情が明るくなる、家庭での会話が増える、日常生活における行動量が増加するなどメンタルヘルスの向上が認められた。また、自律神経系の評価では、交感神経系の緊張が健常者に比較して上昇している傾向がみられたが、なみあし騎乗1時間後にはLF・HF比が有意に低下しており、乗馬には交感神経系の緊張を緩和させる効果がみられることが確認された。一方、有酸素運動と乗馬との臨床症状改善度の比較検討では、有酸素運動にも疲労に伴う疲労度、活力、緊張、意欲の改善に有意な効果がみられたが、乗馬では疲労度、気分の落ち込み度、いらいら度、活力、不安感、意欲、体調など数多くの症状での改善効果がみられ、乗馬は有酸素運動よりも緊張の程度を除き、臨床症状改善度が大きいことが判明した。今回の報告は中間報告であるが、本研究により常歩騎乗による馬介在療法の効果を科学的に検証する1つの手がかりが得られつつある。
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