2006 Fiscal Year Annual Research Report
「隠れ肥満」若年女性に特徴的な食行動、代謝像の評価と肥満改善支援プログラムの開発
Project/Area Number |
18500626
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
永井 成美 岡山県立大学, 保健福祉学部, 講師 (60364098)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森谷 敏夫 京都大学, 大学院・人間環境学研究科, 教授 (90175638)
坂根 直樹 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター, 臨床研究センター), 室長、医師 (40335443)
|
Keywords | 隠れ肥満 / 体組成 / 若年女性 / 代謝 / 自律神経 / 肥満関連遺伝子多型 / 食行動 / 食事介入 |
Research Abstract |
日本人若年女性には、やせ傾向やダイエット志向が強い一方で、低体重・普通体重でありながら体脂肪率が高い「正常体重肥満(いわゆる隠れ肥満)」や「正常体重肥満傾向(いわゆる隠れ肥満傾向)」が高頻度にみられると報告されている。若年女性の「隠れ肥満」は、太りたくないという強い思いから、食事のエネルギーのみを気にして食事の質が良くない場合に、筋肉量、骨量の低下と体脂肪量の増加により形づくられると考えられる。しかし、その成因や、効果的な改善方法についての研究は非常に少ない。若年女性をターゲットにした研究は学術的な価値とともに、日本の少子化問題を解決するための基礎的データの提供に役立つものと思われる。 そこで本研究では、「隠れ肥満」及び「隠れ肥満傾向」の若年女性の食行動パターンやエネルギー代謝動態を明らかにしたうえで、効果的な試験的介入を行い、その方法を一般化して肥満改善支援プログラムとして提案することを目標として一連の調査や介入試験を実施した。初年度の研究実績は次のとおりである。 1.「隠れ肥満」を形づくりやすい食行動、エネルギー代謝動態に着目し、特徴的な食行動パターン(食習慣、ダイエット歴を含む)、及び体組成、エネルギー代謝、自律神経活動動態等の生理学的な特性を明らかにするため、若年女性100名以上の測定および調査を行った。現在も継続中であるが、成果の一部を論文として公表した。 2.エネルギーのみでなく食事の質(栄養素組成)を重視した2週間の完全給食による食事介入を、「隠れ肥満」若年女性を被験者として実施し、体組成、生化学・生理学データともに著しい改善をみた。その成果を、ヨーロッパスポーツ科学会(7月、ローザンヌ)、ネスレリサーチセンター(7月、ローザンヌ)、日本肥満学会(10月、神戸)で公表し、その内容は産経新聞にも掲載された。現在成果を論文にまとめている。次年度は、一般化に向けて、完全給食でなく、より実施しやすい方法(フォーミュラ食による一食置き換え法、あるいは栄養教育と自己調理の組み合わせ)による隠れ肥満改善効果を検証する。 3.日本人に高頻度で見られる肥満関連遺伝子多型(UCP-families, ND2,ss_3-アドレナリン受容体)と食事内容、体組成、エネルギー代謝動態の関連についても調べ、若年女性の「隠れ肥満」を形作りやすい遺伝的背景についても、調査した。現在も継続しているが、成果の一部を論文として公表した。 1及び3の成果の一部、および関連基礎実験より得られた研究成果(過食・食事組成の心臓自律神経への影響)は、日本肥満学会誌に2編の論文として公表した。
|