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2008 Fiscal Year Annual Research Report

科学者の社会的責任論の系譜

Research Project

Project/Area Number 18500757
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

藤垣 裕子  The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (50222261)

Keywords科学者の社会的責任 / 説明責任 / 社会的リテラシー / 科学技術社会論 / 妥当性現界 / 科学コミュニケーション
Research Abstract

本研究課題の目的は、現代の科学者の社会的責任論を構築することである。「科学者の社会的責任」の内実は時代とともに変容してきた。19世紀後半から20世紀前半にかけては、科学の諸成果による国家の繁栄に科学者が責任を負うことが謳われたのに対し、20世紀後半、戦後になると科学の維持と発達に対する責任、科学の利用(悪用)に対する責任が問われるようになる。現代の責任論は、原爆を作った物理学者の責任論にとどまらず、生命科学、食品安全にかかわる諸科学、環境科学など範囲も多様化している。本研究では、まず専門主義の源泉について考え、次に現在科学と社会との間でおこっている公共的課題の特徴を整理する。この2つの考察をもとにして、現代の「科学者の社会的責任」論の特徴を整理することが本研究の目的である。また、責任(responsibility)とは、他者と対峙したときのresponseとして生じ、応答(response)の能力・可能性(ability)に由来する。責任を「過去におこしてしまったものに対して生じるもの」ととらえる見方だけでなく、「応答可能性」「呼応可能性」といった形で解釈する必要がある。これに対応して、科学者の社会的責任論も、過去に科学技術が作ってしまったものに対して生じるものから、市民からの問いかけへの応答可能性として定義されうるものもふえてきている。これらをふまえた上で再整理すると、現代の科学者の社会的責任は、(1)科学者共同体内部を律する責任、(2)製造物責任、(3)市民からの問いへの呼応責任の3つに大きく分けられることが示唆された。第一の内部を律する責任は、研究上の不正や捏造の防止もふくみ、知的生産物の共同体内部による品質管理のことを指す。第二の製造物責任は、原爆や核兵器などを作ってしまったことへの責任、社会をまきこんで議論すべき再生医療や脳死の技術、代理母出産の技術の責任などもふくむ。第三の市民からの問いへの呼応責任は、A:公的資金の使用途に関する説明責任、B:わかりやすく説明する責任、C:意思決定に用いられる科学の責任、D:メディアに用いられる科学の責任、E:科学者のもつべき社会的リテラシーなどがふくまれることが示唆された。

  • Research Products

    (3 results)

All 2008

All Presentation (1 results) Book (2 results)

  • [Presentation] Scientists'Social Responsibility in Comparison with the CSR2008

    • Author(s)
      Yuko Fujigaki
    • Organizer
      4S (Society for Social Studies of Science)
    • Place of Presentation
      ロッテルダム
    • Year and Date
      2008-08-22
  • [Book] 科学コミュニケーション論(第13章:科学者の社会的責任と科学コミュニケーション)2008

    • Author(s)
      藤垣裕子、廣野喜幸(編)
    • Total Pages
      284
    • Publisher
      東京大学出版会
  • [Book] 岩灘座哲学第4巻「知識/情報の哲学」(第II部第1章:ローカルナレッジと専門卸を藤垣が担当)2008

    • Author(s)
      飯田隆ほか編
    • Total Pages
      272
    • Publisher
      岩波書店

URL: 

Published: 2010-06-11   Modified: 2016-04-21  

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