2008 Fiscal Year Annual Research Report
漢訳西洋暦算書の基礎調査と近世国学者への影響に関する研究
Project/Area Number |
18500760
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Research Institution | Maebashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
小林 龍彦 Maebashi Institute of Technology, 工学部, 教授 (10269300)
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Keywords | 漢訳西洋暦算書 / 和算 / 本居宣長 / 平田篤胤 / 国学者 |
Research Abstract |
平成20年度の調査では、国立公文書館、日本学士院、名古屋市蓬左文庫、射水市高樹文庫、京都大学理学部の史料調査を実施。蓬左文庫の調査は前年に次ぐものであったが、今次の調査では「天文暦数地理之書」と題する写本が同文庫蔵の『天学初函』24冊中の「器編」11種の精写本であることを見出し、同藩が禁書に対して細心の注意を以て対応していたことを突き止めることができた。また、同文庫の「天文秘略」が占書であること、『河洛理数』7冊が老中松平定信の旧蔵書であることも再確認した。さらに同文庫の「霊台儀象図」(極美写本)が松井丹右衛門の求めによって浄書され、「欽定儀象考成」「新製霊台儀象志」「赤道南北恒星図」と共に文庫の「元和寛永御書籍目録」によれば「元史」の嘉靖補刊本(1523年〜1566年)が寛永3年(1626年)に輸入されていることが判明する。このことから遅くとも寛永3年までに「授時暦」がわが国に舶載された可能性が考えられるになる。 国立公文書館の調査では、同館所蔵の『回々暦法』の附録が『大明大統歴法』であることが確認した。 研究成果は東アジア数学史研究国際プログラム第1期第4回集会(平成21年3月、愛知県犬山村)において「尾張藩蓬左文庫の中国暦算書」と題して発表した。平成20年度が関孝和没後300年であることから、「関孝和三百年祭記念数学史国際会議」(平成20年8月、東京理科大学)において“Influence of European Mathematics on pre-Meiji Japan"と題する講演を行った。 また、著書としては『関孝和論序説』(共著、平成20年12月、岩波書店)を出版し、論文では「史料に見る関孝和と山内氏」(平成21年3月,No.9,和算研究所紀要)等を公刊した。
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Research Products
(8 results)