2009 Fiscal Year Annual Research Report
漢訳西洋暦算書の基礎調査と近世国学者への影響に関する研究
Project/Area Number |
18500760
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Research Institution | Maebashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
小林 龍彦 Maebashi Institute of Technology, 工学部, 教授 (10269300)
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Keywords | 漢訳西洋暦算書 / 和算 / 本居宣長 / 平田篤胤 / 国学書 |
Research Abstract |
幕末長崎の化学者上野俊之丞の著作『砲家秘函』は大砲射撃に必要な測量術の基本とその応用について いて述べたのである。この冒頭で上野は点線面体について定義しているが、それらは清朝の暦算家梅文鼎の『三角法挙要』からの全くの引用であった。勿論、梅文鼎はユークリシドの『原論』の漢訳本である『幾何原本』を参照しており、上野の『砲家秘函』はイエズス会系訳本の間接的影響と見ることが出来る。これらは平成21年度日本科学史学会(九州大学)、『数学史の研究』集会(京都大学数理解析研究所)において発表した。 第23回科学技術史国会議(ブダペスト)ではPre-modern Japanese Mathematics,Wasan and Demonstrationと題して発表し、近世日本数学における証明は不十分ではあるが、計算重視の考え方が結果として帰納法的証明に繋がっていることを論じた。ドイツのOberwolfach数学研究所ではHistory and Philosophy of Mathematical Nortations and SymbolosmのワークショップにおいてMathematical Notations in the Japnese Tradition Wasan and the Acceptance of New Symbolismsと題して発表し、近世日本数学の代数記号とその展開法および暦算家市野茂喬による蘭語天文書を通じた西洋学術用語の翻訳と受容について明らかにした。 四日市大学関孝和数学研究所では尾張藩蓬左文庫の『天文暦数地理学之書』と題する一冊が禁書である李之藻編の『天学初函』であることを明らかにした。併せて同文庫蔵の漢訳西洋暦算書が写本として文庫外に流出していることも報告した。また、伊勢神宮文庫蔵の一冊『暦稿』が「関孝和輯著」の『授時暦経立成』であり、これが京都の国学者村井古巌による献本であることを明らかにした。
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Research Products
(8 results)