Research Abstract |
本年度は,テスト的テフラ・カタログのデータソースとなる火山の選定とそのテフラ・データの収集を行った. 火山は,阿蘇・九重・霧島とした.姶良・霧島火山は,すでに地質調査は終了し,既存の研究資料も収集された.来年度にデーターベースの作製に入る予定である.姶良火山は過去10万年間活動的であったが,特に5万年前以降活動的である.3万年前の姶良火砕流噴火が起き,現在は桜島の活動が続いているが,巨大なマグマ溜りの存在が予想され,姶良火山は将来大規模噴火が起こりうる危険な火山である.霧島火山は,過去10万年間非常に活動的で,特に最近3万年間は,新期のステージに入り大型の火砕丘群を形成するような爆発的噴火を繰り返し,多数のテフラを放出している.阿蘇火山も地質調査はほぼ終了したが,テフラの年代および給源火山に関して,不明な点があり,来年度も補足的に調査を続行し,20年度にはデータ・ベース作製を行いたい.これまでのところ,阿蘇火山中央火口丘は,9万年前以降噴火頻度が高く,活動的であるが,マグマ溜りが分割され,阿蘇4火砕流のような大規模火砕流噴火は今後起きそうにない.また最近1万年間は活動が穏やかで,過去9万年間の活動の中で極めて特異である.雲仙・九重火山は,今年度地質調査を行ったが,天候不順のため給源地域(溶岩ドーム群)の調査が行えず,来年度および再来年度調査を継続し,データベース作製は最終年度の予定である.
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