2008 Fiscal Year Annual Research Report
テフラ・データベース作製のための最近10万年間の高精度火山噴火編年
Project/Area Number |
18500781
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
長岡 信治 Nagasaki University, 教育学部, 教授 (80244028)
|
Keywords | チュガリョン火山 / 福江火山 / プレート内火山活動 / 溶岩流 / 火砕サージ / 玄武岩 |
Research Abstract |
本年度は、朝鮮半島チュガリョン火山の噴火史の総括、五島列島福江火山群の層序と年代測定を行った。チュガリョウン火山は、朝鮮半島中央部、北朝鮮と韓国の国境付近に形成された玄武岩質の盾状火山である。地理的な困難さもあって、その活動史はほとんどわかっていなかった。去年度までの野外調査とカリウム・アルゴン年代測定により、その一部が明らかとなった。チュガリョン火山は少なくとも、50万年前には活動を開始し、大規模な玄武岩質溶岩を噴出し、その一部はソウルや黄海、日本海にまで達していた。その後35万年間の休止期間を経て約15万年前に大規模な玄武岩質溶岩流の噴火があり、漢灘江上流部を埋め尽くした。さらにその後スコリア丘の形成を経て、現在は休止期間に入っている。噴火周期は30〜40万年間で、次回は20〜15万年後と推定される。 長崎県の福江火山群では、従来50万年前が最古の活動と考えられてきた。しかし、今回、古くは約200万年前から噴火が起きていたことがわかった。これにより、1000万〜600万年前に北松浦半島で起きたマントル上昇流の単純な延長モデルは通用しなくなった。済州島に代表されるような西側の東シナ海からの新たなマントルの流れを想定しなければならないようである。また、福江火山群では、海水とマグマの接触によるマグマ水蒸気噴火がたびたび起き、火砕サージや降下火山灰などのテフラがしばしば生産されてきた。
|