2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18510004
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
柳澤 文孝 Yamagata University, 理学部, 教授 (00239807)
|
Keywords | 環境分析 / 環境変動 / 大気汚染 |
Research Abstract |
大気中に存在する物質は乾性沈着あるいは湿性沈着によって除去されて地上に沈着する。降雨が落下する間に大気中にある物質を取り込むウオッシュアウトを野外で実測する試みが国内外で様々なされてきたが、実測された例はなかった。中国四川省にある峨媚山は世界遺産にも指定されている名山であるが、山麓から山頂まで寺が点在しており年間を通じて人が常駐している。また、峨媚山には標高2500mまで道路があり山頂までロープウェイが設置されていることから、年間を通じて山頂まで登頂可能である。峨媚山の標高2000-2500m付近には常時、雲がかかっており降雨が降っている。峨媚山は第四紀の断層活動によって生じた山であり、垂直変位が大きく、山道に沿って降雨の採取地点を確保すれば、年間を通じてほぼ同一地点で山麓から山頂まで任意の高度で降水を採取可能である。このように、峨媚山は、四川盆地内に滞留している高濃度の大気汚染物質がウオッシュアウトによって降雨に取り込まれる状況を明らかにできる絶好の地点である。本研究では、峨媚山に高度200m毎に降雨採取地点をもうけて試料採取を行うと共に、峨媚山周辺や成都市内に降雨採取地点をもうけて試料採取を行い、降雨試料を相互に比較することで、大気汚染物質の降雨への取り込まれ方を検討した。その結果、高度が下がるにつれて降雨に含まれている硫酸イオンや硝酸イオン、カルシウムイオン等の濃度が増加することが明らかとなった。雨滴の落下距離に対する汚染物質濃度の増加量は、硫酸イオン、硝酸イオンおよびカルシウムイオンのおのおのについて雨滴が100m落下する毎にそれぞれ2.18, 1.36および4.76mol/Lであった。各イオン成分の濃度増加量の違いは、大気中での各成分の存在形態や物理・化学的性質の違いを反映していると考えられる。
|
Research Products
(2 results)