2007 Fiscal Year Annual Research Report
イトヨの優良バイオマーカーを利用した内分泌攪乱作用評価系の構築
Project/Area Number |
18510060
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
長江 真樹 Nagasaki University, 環境科学部, 准教授 (00315227)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 彰彦 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 教授 (40091483)
征矢野 清 長崎大学, 環東シナ海海洋環境資源研究センター, 准教授 (80260735)
浦 和寛 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 助教 (90360940)
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Keywords | バイオマーカー / イトヨ / 環境ホルモン |
Research Abstract |
昨年度、イトヨのスピギンおよびビテロゲニン測定系の整備を実施し、化学物質の持つ性ホルモン作用をバイオマーカーを用いて評価するための準備を行った。本年度は、それらバイオマーカーを用いて実際に化学物質の性ホルモン作用評価を実施するにあたって必須である「曝露試験法」の整備を目指し、評価において最適な曝露条件(曝露日数および曝露水温)を見いだした。 まず、評価に必要な曝露日数について検討を行った。合成男性ホルモンであるメチルテストステロン(MT)を0.1、1および10μg/Lの濃度で曝露を行ったところ(水温15℃)、特に1および10μg/L曝露において、曝露後3日目で有意なスピギンmRNA濃度の上昇が認められた。7日間の曝露では、全ての曝露濃度群においてスピギンmRNA濃度の顕著な増加を検出できた。このことから、MT0.1〜10μg/Lの濃度範囲では3日間の曝露で十分な生物学的評価が実施可能であると裏付けられた。 さらに曝露試験時の水温影響についても調査した。イトヨは冷水性魚であるため20℃以下の水温で健全な生育が可能であるが、当該試験における最適水温については不明であるため、5、10および15℃での曝露を実施し、スピギンmRNA濃度変化を解析した。MT曝露濃度は前述同様0.1、1および10μg/Lとした。その結果、曝露水温15℃では、上記曝露試験と同様、活発なスピギンmRNA発現が確認されたが、曝露水温の低下に伴いスピギンmRNA濃度は減少し、5℃の曝露では、スピギン遺伝子転写誘導に対するMTの効果を明瞭には検出できなかった。このことは、冷水性魚であるイトヨにおいても、基本的な細胞活性は外界温に強く依存していることが明らかとなった。 以上の結果から、イトヨを用いて化学物質のもつ性ホルモン作用を明らかにするin vivo試験法条件として、曝露期間7日間、曝露水温15℃を提唱した。
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