2008 Fiscal Year Annual Research Report
触媒水熱ガス化を用いた難燃性有機塩素化合物の分解と除去
Project/Area Number |
18510073
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中川 浩行 Kyoto University, 環境保全センター, 准教授 (40263115)
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Keywords | 難燃性有機化合物 / ニッケル / 炭素触媒 / 水熱ガス化 / ジクロロベンゼン / 廃水 / アルカリ添加 |
Research Abstract |
昨年度までに廃水中に有機塩素化合物が含まれる場合、ガス化によって塩酸が生成するために触媒が失活してしまう問題があったが、廃水にNaOHを加えることによって失活を抑制できることがわかった。本年度は、難燃性の有機塩素化合物であるオルトジクロロベンゼンを含む廃水中のNaOH濃度を0〜0.625Mで変化させて有機物のガス化活性を検討した(温度:270℃,圧力:9MPa, LHSV:20 1/h)。実験は時間による活性の変化も見るために50時間行った。NaOHを添加しない場合は、炭素転化率が最初0.56であったが時間とともに除々に低下し、50時間後には0.33まで低下した。 0.003Mの場合でも、炭素転化率自身はNaOHを添加しない場合よりも高かったが、時間とともに活性は低下した。0.1M、0.25M、0.625Mの場合は、いずれも時間ともに活性の低下は見られなかったが、活性には大きな違いが見られた。炭素転化率は、0.1Mでは0.55、0.25Mでは0.65とNaOHの添加量を増加させると活性が向上したが、0.625Mでは逆に活性が低下し、活性を向上させるためには、最適なNaOH濃度があることがわかった。活性が維持できた0.1M〜0.625Mについて、生成ガス組成を見ると、0.1Mではメタンが70%。二酸化炭素が30%程度であったが、0.25M、0.625Mではほとんどメタンのみであった。これは、生成した二酸化炭素がNaOHによって処理水に吸収されるためである。生成した二酸化炭素量を処理水中の無機炭素(炭酸イオン)量から推定すると、NaOH濃度(0.1〜0.625M)によらず、メタン収率はあまり違いが見られないかったが、二酸化炭素収率に大きな違いが見られ、そのため炭素転化率にも大きな違いが見られたことがわかった。
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